“魔球”磨いて驚異の緩急差…ダル直伝のフォークも機能 22歳の進化示す「22.3%」
オリックス宮城はキャリアハイとなるシーズン3完封など3連覇に貢献
今季も2ケタ勝利を挙げる活躍を見せ、オリックスの優勝に貢献した宮城大弥投手。ここまでキャリアハイとなるシーズン3完封をマークするなど、安定感抜群のピッチングで山本由伸投手や山下舜平大投手とともに強力投手陣を形成し、チームを3連覇に導いた。宮城が今季見せた投球の変化について迫る。(数字は9月23日終了時点)
今年の自主トレで「チェンジアップだけでは対応されやすい、もう少し速い落ちる球が欲しい」と語っていた4年目22歳。開幕前に侍ジャパンの一員としてWBC出場を果たしたが、そこでチームメートだったダルビッシュ有投手(パドレス)からアドバイスをもらうなど、フォークの完全習得に取り組んだ。ここまでの球種別投球割合を見ていくと、昨季比でフォークは約7ポイント近く上昇しており、チェンジアップとほぼ同じ割合で投じるようになった。
各球種の平均球速を見ると、フォークが約135キロで、ストレートの次に速い球となっている。ストレートが約145キロ、スライダーとチェンジアップが125キロ前後で、球速差が約20キロ。そこを埋めるボールとしてフォークが効果を発揮しており、打者にとってより狙い球が絞りづらくなっているといえる。加えてカーブが昨季までと比べて10キロ以上遅く、例年以上に「緩急」にフォーカスを置いたピッチングを見せている。
打者はストレートか135キロ前後で落ちるフォーク、125キロ前後で曲がるスライダーとチェンジアップ、100キロを切るほどのスローカーブと、縦横への変化や幅広い球速帯に対応しなければならなくなり、より捉えるのが困難になった。今季の見逃しでストライクを奪った割合はリーグの中でトップの「22.3%」を記録。同2位は左腕の日本ハム・加藤貴之投手(22.1%)で、球速差を生かして打者をいかに翻弄しているのかがわかる。
打者のタイミングや狙いを外すことで一層の成長が見られた今季。各球種の被打率を見ると、カーブこそ打者に狙われて捉えられることが増えたものの、その他の球種は軒並み高水準の数字をマーク。完全習得を目指したフォークも1割台と力を発揮しており、「新球」として十二分に機能した。
体調不良の影響でリーグ3連覇の輪には加われなかったが、8月から9月にかけて29イニング連続無失点を記録するなど、間違いなく優勝の立役者といえる活躍を見せた次はパーソルクライマックスシリーズ、SMBC日本シリーズのマウンドで躍動し、みんなと喜びを分かち合う左腕の姿を期待したいところだ。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)