「4割打者」に現実味も…高すぎた“イチローの壁” 天才26歳でも及ばぬ神記録の異質さ
アラエスは6月下旬まで4割前後で推移も、後半戦で“失速”
マーリンズのルイス・アラエス内野手は、打率.354で2年連続首位打者に輝いた。ベネズエラ出身の巧打者は、開幕から好調をキープして4月末の時点では.438を記録する好スタートだった。その後も、6月後半まで4割前後を維持して、「4割打者」誕生の期待もあった。4割を切っても、2004年のイチロー(マリナーズ)が.372を記録して以来、メジャーで届くものがいなかった「.370」超えも可能な勢いに思われたが、夏場以降は徐々に失速。首位打者に加え、シーズン最多安打記録(262本)を樹立した“イチローの2004年”の壁は高かった。
今季のアラエスは開幕から絶好調だった。4月を.438でフィニッシュすると、5月10日(同11日)の試合前時点の出場33試合で4割をキープ。その後、3割7分台まで下げるも、6月6日(同7日)に4割に復帰。同月24日(同25日)に再度4割を切ると、以降は徐々に下降線をたどり、最終的には.354でシーズンを終えた。シーズン前半の調子を考えると、2004年のイチローを超える打率を記録する可能性は高かったが、まさかの“失速”という形になった。
イチローの2004年は、開幕当初はスロースタートで4月は打率.255で終了。5月に27試合で50安打を放ち5月31日(同6月1日)時点で打率.335に上昇して勢いづいた。6月に少し打率を下げるも、7月は打率.432、8月は驚異の打率.463、9月は.373、10月は.429と、シーズン後半は異次元の数字を記録。球宴前85試合で119安打、打率.321で、これでも十分な成績だが、球宴後は76試合で143安打、打率.429という恐るべき数字を打ち立てた。この年に記録したシーズン打率「.372」以降、メジャーで3割7分以上を記録した打者は19シーズン出ていない。
アラエスは2019年にメジャーデビューすると、ツインズ所属時の昨季に.316を記録して初の首位打者に輝き大ブレーク。マーリンズに移籍した今季も首位打者に加え、203安打を放ちチームのプレーオフ進出に貢献した。1941年にテッド・ウイリアムズが記録して以来生まれていない「4割打者」の誕生は夢と終わったが、まだ26歳。選手としての全盛期を迎えるこれからのシーズンでのイチロー超え、さらには4割達成を期待したい。
(Full-Count編集部)