聖地で受けた“一流”の衝撃 超強力打線で全国V…中学チームの確率上げる構え方

東海中央ボーイズ・竹脇賢二監督(右)【写真:編集部】
東海中央ボーイズ・竹脇賢二監督(右)【写真:編集部】

今春に初の全国制覇を果たした東海中央ボーイズ…6試合で44得点の強力打線

 愛知県の中学硬式野球チーム「東海中央ボーイズ」は、堅い守備と強力打線で今春、全国制覇を達成した。全国大会では6試合中、3試合がコールド勝ちで計44得点。ヒットの確率を上げるため、チームでは無駄のない構え方を重視している。

 東海中央ボーイズは今年3月、創設11年目で初めて「日本少年野球春季全国大会」を制した。予選を無失点、全試合コールドで勝ち上がって全国の舞台でも自慢の打力を見せつけた。選手として鹿児島実業で4度の甲子園を経験し、社会人の新日鉄名古屋でプレーした竹脇賢二監督が、打撃のポイントとして挙げるのは「ミート率」。凡打の確率の方が高い打撃において、ヒットを放つには、バットの芯に当てる確率を上げることが重要で、構え方に重点を置いて指導している。

 構え方で基本となる考え方は、いかに下半身、体幹の力をバットに伝えるかにある。両足を肩幅に開き、膝を曲げて最も力が入るパワーポジションをつくる。お尻が下がり過ぎると重心がかかと側にかかってしまい、投球の8割以上を占める外角の投球にバットが届かないので注意する。

「腕や上半身を主導にバットを振ると、球速やキレのある投手への対応が難しくなります。4打席で1度しかヒットが出ない選手が、10打席で3回、4回と打てるようになれば野球が楽しくなるはずです。打てる確率を上げる無駄のない構え方を練習で身に付けています」

甲子園や都市対抗野球…一流投手との対戦で得た教訓

 打撃フォームで無駄を省く理由は年々、投手の球速が上がり、球種も増えているからだという。余分な動きが入れば、対応は難しくなる。指揮官は「ヒットの内容が良くない、アウトの内容が良くない選手には指導します。型にはめていると見えるかもしれませんが、私としては上のステージで結果を出すため、無駄のないフォームの大切さを伝えています。最初は窮屈に感じる選手も、成功体験が勝ります。自分の経験に加えて、色んな人の考えを見たり聞いたりして指導に生かしています」と語る。

 無駄のない構え方を大切にする指導は、現役時代の経験も大きい。1年から名門・鹿児島実業でレギュラーだった竹脇監督は、甲子園で全国のトップレベルに衝撃を受けた。その代表が、当時スター選手で後に阪神に入団した秋田経法大付(現・ノースアジア大学明桜)の中川申也投手だった。

「鹿児島県大会のようにドーンと構えて打席に立ったのですが、中川投手の初球に全く反応できませんでした。球速表示ではそれほどスピードがなくても、球の伸びや切れが違って手が出ないんです。トップの位置を変えたり、バットを短く持ったりして、できるだけ動きの無駄をなくしたフォームに変えて対応しました」

 新日鉄名古屋でプレーした社会人時代も同様の経験をした。都市対抗野球で対戦したプリンスホテルには、元ロッテ・武藤潤一郎投手、元西武・前田勝宏投手、元ダイエー・斉藤貢投手らが所属していた。竹脇監督は「無理、無駄のないフォームから、さらに打席の中で無駄を省いて対応しました」と回想する。甲子園でも都市対抗でも結果を残したことで、一流投手を攻略するには動きの無駄を徹底的に省く必要性を感じた指揮官。経験を指導に生かしている。

(間淳 / Jun Aida)

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