【1軍をマクレ】「プロだけで記憶に」―「ミラクル星稜」のエース、ロッテ右腕が歩む1軍への道
2014年夏を沸かせた「ミラクル星稜」エース岩下大輝
交流戦では12球団断トツの防御率2.40を誇り、11勝7敗のパ・リーグ2位で終えたロッテ。開幕当初は湿りがちだった打線も、チーム打率.278と12球団トップだった。投打のかみ合った試合運びでリズムを掴み、再び戦いをペナントレースへと戻す中、2軍では自分もその一角に名を連ねようと必死でアピールを続ける若手選手がいる。
1軍に割って入ろうと奮闘するロッテ若手スターをご紹介する「1軍をマクレ」第3回は、4年目右腕・岩下大輝投手にスポットライトを当てた。
――――――――――――――
今年で100回を迎える夏の甲子園。各都道府県では早くも予選が始まろうとしている。
今から4年前、2014年に旋風を巻き起こした「ミラクル星稜」を覚えているだろうか。石川県大会決勝の9回裏、小松大谷を相手に0-8と大きく差を開けられた星稜は、打者13人の猛攻で一挙9点を叩き出し、劇的なサヨナラ勝利を飾った。甲子園では16年ぶりの3回戦進出を果たしたチームのエースだった岩下大輝は、プロ4年目の今季、1軍初昇格を目指してロッテ浦和球場で汗を流している。
プロ入り後は相次ぐ怪我に泣かされた。入団直後に右肘靱帯に損傷があり、“緩んでいる”ことが発覚。保存療法で様子を見たが、靱帯の緩みで骨の過剰な摩擦が生じ、シーズン終了間際に右肘を疲労骨折した。骨折を治すボルトを肘に入れる手術を受けるのに合わせて、靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)も決意。2年目はリハビリと投球再開に向けた準備で終えた。
「最初、肘の靱帯が緩んでいるって言われた時が、一番ショックでしたね。まだスタートラインにも立ってないのに。プロに入ったばかりでこんな怪我をしちゃったらヤバいなって。でも、疲労骨折をしたら、手術するしか選択肢がなかった。逆にそこからは『高卒1年目だし、まだ時間はある』って腹を括れました」