オリックスに受け継がれる吉田正尚の応援歌 移籍しても“想い”繋ぐ魂のメロディ
吉田正尚「ファンの声援も1つになっていて“名曲”だなと」
かつての本拠地で奏でられるメロディに、思わずうっとりした。レッドソックスの吉田正尚外野手はクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦(10月18日、ロッテ戦)と「SMBC日本シリーズ2023」第1戦(10月28日、阪神戦)のテレビ解説で京セラドームに姿を見せた。
古巣のナインが躍動するポストシーズンのゲスト解説を任されると「一緒にプレーしていたメンバーが改めて目の色を変えて、戦ってくれていてうれしかったですね。(メジャーに移籍して)まだ1年しか経ってないですけど、冷静にみんなのプレーを見て、元気や勇気を頂きました」と胸に手を当てた。
熱戦が繰り広げられる中、ふと気がついたのは自身の応援歌が流れていたことだった。得点のチャンス時に、慣れ親しんだメロディを耳にすると「ファンの声援も1つになっていて“名曲”だなと感じましたね。解説席で綺麗な音色を聞かせて頂いて、少し懐かしい気持ちにもなりました」とニッコリだった。
昨季の日本シリーズ第5戦(ヤクルト戦)では、劇的なサヨナラ弾を右翼5階席に放ち、本拠地を熱狂に包んだ。「打席にいる時は試合に集中していたこともあって、全てを聞き取れる訳ではなかったんですけど、応援団やファンの方たちが一生懸命に考えてくださったメロディですし、球場の盛り上がり方も凄いなと思いました」。試合の解説中も、リズムに乗って声援を送るファンを真っすぐに見つめた。
「(解説で)第3者目線と言いますか、冷静にスタジアムの雰囲気を感じたのは、この前が初めてだったのでね。こんなにも素晴らしい曲を流してくれていたんだなと。作って下さった応援団の方にも、歌って下さっているファンの方にも、感謝の気持ちしかないですね」
当然ながら、オリックスを離れてから“名曲”が流れる頻度は減っている。数秒ほど考えた後、吉田は提案する。「あんなに素晴らしいメロディを、このまま置いておくのも“もったいない”と思います(笑)。どうなるのかは応援団の方が決めることでしょうけど、程よいタイミングで、忘れられない温度感で(境地を)流してくれると嬉しいですね」。海を渡っても、伝説は生き続ける。