阪神ドラ1が見せた“勝てる投手”の素質「打たれてもいいや」 状態悪くても頭脳的投球

日本文理大戦に先発した青学大・下村海翔【写真:加治屋友輝】
日本文理大戦に先発した青学大・下村海翔【写真:加治屋友輝】

阪神のドラフト1位、青学大・下村は7回途中2失点の粘投

「第54回明治神宮大会」大学の部が18日、神宮球場で行われ、青山学院大(東都大学)が8-4で日本文理大(九州3連盟)に勝利。史上5校目となる大学4冠(春秋リーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)に向け、好スタートを切った。阪神からドラフト1位で指名された先発の下村海翔投手は6回2/3、5安打2失点の力投も「自分の投球には全然、満足していない」と、慢心することはなかった。

 ドラフト指名後、初の公式戦マウンド。注目のドラ1右腕は「ちゃんと投げないと、見られているし期待されている」と、重圧を感じながら腕を振った。2点リードの3回、1死三塁では中犠飛で1点を失うと、6回には2死一、三塁のピンチを招き中前適時打を浴び降板となった。

 最速155キロを誇る本格派右腕も、この日は147キロ止まり。寒さもあり、直球のほとんどは140キロ台前半だった。それでもカットボール、フォークなど変化球を交え、大崩れすることはなかった。「先頭(打者)を出してリズムを作るのが難しくなった」と、計4四球の内容を反省した。

 決して本調子ではなかったが、試合を作る能力はさすがだった。本人も「ストレートの状態は良くなった」と自己分析するなかで、打者2巡目以降は直球の割合を増やしていた。あえて状態の悪い直球を続けた意図を問われると「変化球に逃げても終盤苦しくなる。そこは割り切って投げ込むしかない。ヒットを打たれてもいいやというぐらいで」と説明。流れを読みながら、頭脳的な投球でチームを勝利に導いていた。

「多少の環境の違いもあって。そういうのも影響しているのかなと思う。今までの練習自体は悪くない。次はいい投球ができると思っています。今日は四球が多くなって、自信をもって投げられなかったのが一番の要因。明日、明後日。短いですけど、その中でも準備できたら次はいい投球できる」

 今大会はDH制がないため、公式戦では高校3年以来の打席を経験。第1打席では、アウトにはなったが右翼へ大飛球を飛ばし、2つの犠打もきっちり決めた。セ・リーグでは打席に立つ機会もあるだけに「久しぶりの感覚だったんですけど、準備というところは難しいので。そこはすごくいい経験になりました」と、来年に向けた“予行演習”も楽しんでいた。

 大学選手権、春秋のリーグ連覇に続く「大学4冠」に向けて19日の準決勝、20日の決勝と3連戦が待っているが「明日も投げるつもりで準備したい」とフル回転を宣言した。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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