東京に驚くナイン「熊本と全然違う」 プレーにも“都会の洗礼”…持ち帰る宿題
明治神宮大会が開幕、初出場の熊本国府は関東一に完敗
東京で浴びた“洗礼”は、春へ向かう貴重な経験値となった。15日に開幕した「第54回明治神宮野球大会」の高校の部で、初出場の熊本国府(九州地区)は2-6で関東一(東京地区)に敗れ、初戦で姿を消した。山田祐揮監督は「ピッチャーのレベルが一段と上がった」と、全国の壁を痛感。グラウンドの内外で、故郷との違いを味わった。
先発の坂井理人投手(2年)は初回に内野ゴロの間に先制を許すも、2回からは3イニング連続で無失点。5回に適時三塁打、6回には犠飛で追加点を許したが、ビッグイニングはつくらせず6回6安打3失点と粘った。打線は6回に山下勝耀外野手(2年)の適時打で1点を返し、8回には岡本悠生外野手(2年)がタイムリー。懸命に強豪に食らいついたが、終盤に点差を広げられ、投打で力の差が出た。
地方の高校生にとっては、頻繁に来る機会の少ない東京。主将の野田希内野手(2年)は、人生で2度目の上京だったが「初めて東京に来た子もいました。みんな『人が多いな』と話していましたし、グラウンドやホテルなどの環境が熊本とは全然違うなと感じました」と、ここ数日を振り返る。慣れない空間に、圧倒された面も少なからずあった。
環境の違いはプレーにも影響を与えた。記録上の失策は1つだったが、目に見えないミスが出た。野田主将は「力不足です。守備ではできた部分もあったけど、いつもだったら捕れる打球に追いつけなかったり、積極的に振れていたのに、追い込まれたりしてしまった」と省みる。関東一にとっては“地元”という状況もあり「相手の応援もすごかった。人工芝も初めてだった」。どっしり地に足をつけられないまま、試合終了のコールを聞いた。
秋に得た初体験は、反省と改善の冬を経て、春に花を咲かせるための肥料となる。視界は県内から全国に広がった。山田監督が「(レベルが高い)ピッチャーを打つための練習をこれからしていかないといけない」と言うように、課題が明白にもなった。次は甲子園を目的地に定め、火の国に帰る。
(飯田航平 / Kohei Iida)