プロ注目右腕は「ひと冬越えてどうなるか」 9回ゼロ封も…スカウトが与えた“注文”

先発した作新学院・小川哲平【写真:田中健】
先発した作新学院・小川哲平【写真:田中健】

作新学院のエース小川哲平、逆転サヨナラ勝ち呼び込む力投

「第54回明治神宮野球大会」の高校の部で、作新学院(関東地区代表)は16日、北海(北海道地区代表)に2-1で逆転サヨナラ勝ちを飾り、準決勝に進んだ。先発のプロ注目右腕・小川哲平投手(2年)は9回3安打8奪三振無失点の好投。延長10回タイブレークでの劇的瞬間を呼び込んだ。

 最大の窮地は、両チーム無得点で迎えた5回。野手陣の相次ぐ失策で2死一、三塁となったが「エラーがあっても抑えてやろうと思っていた」と動じず、空振り三振で切り抜けた。その後も本塁は踏ませず「9回まで投げたことはプラス、新たなステージに上がれた」と大きく頷いた。

 試合は今大会初のタイブレークに突入。2番手の石毛虹晴投手(2年)が押し出しの死球を与えて先制を許したが、その裏に打線が意地を見せた。一死満塁のチャンスを作り、小川亜怜外野手(2年)が2点適時打。穏やかな日差しが降り注ぐ秋の神宮で、ナインの歓喜の叫びが響いた。

 偉大な先輩たちの背中を追う。昭和の時代は“怪物”江川卓、近年でも西武の今井達也やDeNAの入江大生らプロ野球選手を輩出している作新学院。小川哲の視線も、まだまだ先にある。「ナンバーワンになれるように。ピッチャーとしても」。119球の熱投にも「自分はもっと成長できる」と言い聞かせる。

 身長183センチ、体重92キロの恵まれた体躯。課題はそのまま伸びしろになる。「行けるなら10回まで行きたかったんですけど、体力がまだない」。この日の最速は142キロ。スタンドで視察したセ・リーグ球団のスカウトは「ひと冬越えてどうなっているか。145キロは欲しい」と注文をつけた。ナンバーワン投手の称号を得るため、まずはチームを頂点に導く。

(飯田航平 / Kohei Iida)

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