球場どよめく逆方向弾も「過信せず」 来年の主役に…2人のドラ1粉砕した“東北の逸材”
富士大の麦谷は広島からドラフト1指名を受けた常廣からソロ含む2安打2打点
「第54回明治神宮大会」大学の部が19日、神宮球場で行われ、富士大(東北3連盟代表)は3-4で青学大(東都代表)に敗れ、初の決勝進出を逃した。“春のリベンジ”は果たせなかったが、来秋のドラフト候補・麦谷祐介(むぎたに・ゆうすけ)外野手(3年)はドラ1右腕から意地の一発を放った。
燃えないわけにはいかない。青学大は今春の全日本大学選手権準決勝で2-5と敗れた相手。再び全国の舞台で対峙し、麦谷は「絶対リベンジしようと話していた」と、チームの思いを代弁した。試合は僅差の展開が続き、広島からドラフト1位指名された常廣羽也斗投手を最後まで追い詰めた。
1点を追う5回2死三塁で迎えた第3打席では一時、同点に追いつく右前適時打。さらに、2点を追う8回の第4打席では146キロの直球を左翼席へ運ぶ追撃のソロアーチ。春には阪神からドラフト1位指名された下村海翔投手からも一発を放っており、これで同チームから“2人のドラ1”を打ち砕いた。
NPBから最高評価を受けた右腕から放った一発は共に逆方向だ。最大の売りだった俊足、強肩に加え、フィジカルを鍛えたことで生まれたパンチ力ある打撃も武器の一つに。下村、常廣からの本塁打にも「自信には繋がるが、過信せずにいきたい」と、麦谷は冷静に振り返る。
最終学年を迎える来季は名実ともにチームを引っ張っていく立場になる。もちろん、個人として目指すのはプロ1本だ。
「春秋ベスト4の壁を残り越えないといけない。個人としてもまだまだアピールしていかないといけない。打っても打たなくてもブレないメンタル。野球は個人じゃなくチームスポーツなので。勝ちきれなくて悔しいが、戦えたのは来年に繋がると思う」
乗り越えられなかった青学大の壁。悔しさの中にも、全国の舞台で放った一発は来年へ繋がっていく。更なる成長を誓った麦谷は勝負をかけたラストイヤーへ突き進む。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)