3年で戦力外も…消えぬ闘志「もう1回戻りたい」 21歳大砲が探るNPBへの“最短ルート”
今季限りでロッテを戦力外となった右の大砲・西川僚祐
来季からNPB2軍のイースタン・リーグに新規参加することが内定しているオイシックス新潟アルビレックスBCが20日、新潟市の「ハードオフエコスタジアム新潟」でトライアウトを実施した。32人の参加者のうち、NPB経験者は、21歳にして今季限りでロッテから戦力外通告を受けた西川僚祐外野手1人。西川は15日に千葉・鎌ケ谷スタジアムで行われたNPB12球団合同トライアウトにも参加し、左翼席へ豪快な本塁打を放り込んでいる。
NPB復帰を果たすための“最短コース”を探している。西川はこの日、カウント1-1からのシート打撃で3度打席に立ち、四球、一塁強襲安打、中前打。NPB経験も豊富なオイシックス・橋上秀樹監督は「やはりNPBの選手の打球は一味違う。体も大きいね」と、186センチ、100キロの体格を頼もしそうに眺めた。
西川は、巨人・原辰徳前監督、同・菅野智之投手ら数多くの人材をNPBに輩出している神奈川・東海大相模高出身。在学中は通算55本塁打を量産した右の大砲だ。2020年ドラフト5位でロッテ入りした後は、3年間で1軍出場なしに終わったが、昨年はイースタン・リーグ2位の打率.276、8本塁打47打点、同リーグトップの長打率.438をマーク。今季は打率.202、6本塁打24打点に数字を下げると、チームの来季構想から外れた。
「今年、NPBのファームでは自分の思うような結果を残せませんでしたが、もう1回しっかり力をつけて、もう1回NPBに戻りたいという気持ちで(トライアウトを)受けさせていただきました」と西川は言う。
12球団合同トライアウトでの1発を認められ、NPB球団と来季契約を結ぶことができれば最高だが、一般的に獲得意思のある球団はトライアウト終了後5日以内に選手へ連絡するといわれており、楽観できない。
一方でオイシックスは来季、2軍とはいえ年間を通してNPB球団と戦う見込みで、ここでプレーすれば当然、NPB関係者の目に触れる機会が増える。NPB復帰が目的である以上、独立リーグなどよりは有利な所属先と言える。西川も「(オイシックスのトライアウトを受けた理由は)“NPBに近い”と感じたからです。NPBのチームと試合ができることは大きいと思います」とうなずいた。
橋上監督は12球団合同トライアウトにも足を運んでいた
とはいえ、オイシックスのトライアウトも、“狭き門”であることに変わりはない。総勢40人以上の選手を確保してNPB2軍初年度に臨む方針だが、すでに今季BCリーグを戦った選手のうち20人と契約を更新。その他に、プロ志望届を提出しながらNPBドラフト会議で指名されなかったアマチュア選手にも声をかけている。さらに、12球団合同トライアウトにも橋上監督らが足を運び、NPB経験者10人弱にオファーしているようだ。そのため、今回のトライアウトで採用されるのは「若干名」の見込みだ。
西川は「実は母が新潟市出身で、年に1回は来ていました。ここでトライアウトを受けることができたことに、縁を感じます」と唇を綻ばせた。NPBから戦力外通告を受けた選手たちは、今度は復帰するために、より有利な位置取りをめぐって“次なる戦い”を繰り広げている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)