大谷翔平、迫りくる“二刀流の期限” 3度目手術なら…犠牲になる「苦悩と休養」

エンゼルスからFAとなっている大谷翔平【写真:ロイター】
エンゼルスからFAとなっている大谷翔平【写真:ロイター】

2度トミー・ジョン手術のイオバルディは過去最高のシーズンや世界一経験

 エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手は、9月に受けた右肘手術の影響で来季は野手に専任し、投手復帰は2025年が見込まれる。米メディア「ヤフー・スポーツ」が「あとどれだけ二刀流スターでいられるか」として、二刀流の“期限”を3つの要素から考察した。

 1つ目は手術についてで、過去に2度トミー・ジョン(TJ)手術を受けて復帰した投手の例を挙げた。ネイサン・イオバルディは2度目のTJ手術を受けて2018年に復帰。以降キャリア最高の部類に入るシーズンを何度か送り、今年は世界一に輝いた。マイク・クレビンジャーは、この2シーズンで46先発。カブスの先発ジェームソン・タイオンはフルで3シーズンを送り、計476イニングを投げてFA契約も得た。

「しかしサンプルが非常に少ない上に、それぞれの例の詳細が複雑なので、この点でのオオタニと比較することは不可能に近い」と同メディア。イオバルディは1度目と2度目のTJ手術の間に9年間投げたが、その間で150イニング以上を投げたシーズンは1度だけだった。クレビンジャーは2度目のTJ手術から復帰した2022年は球威がかなり落ちていて、2023年も復帰途上。タイオンはリハビリ中にフォームを完全に変え、その後怪我はないが以前の数字には届かないからだ。

 2つ目は投げることによる健康リスクで「球威と怪我のリスクを関連付けている研究が複数ある。力を込めて投げれば投げるほど、ローテーションを維持するのは難しい」と分析する。

「野手としての技を磨いたらジャッジの2022年のようなシーズンを」

 大谷が2018年10月に受けたTJ手術から復帰した2021年以降、直球を1500球以上を投げて、かつ平均球速が95マイル以上の先発投手は大谷を含む28人。「この馬車馬の働きをしている投手の中で最も名の知れているサンディ・アルカンタラさえ、2023年に離脱してトミー・ジョン手術を要した」「こうしたすべてのことから論理的な結果が導かれる:オオタニが今後通常のMLB投手でいられる日々は限られている」と結論付けた。

 さらに記事では、大谷が投手としてより打者としてのほうがインパクトを残していると言及した。2021年以降、打者として1904打席、wRC+は157、ファングラフス社のWAR15.5、投手としては延べ1724人の打者と対戦、ERA+は151、ファングラフス社製のWARは10.9。MLB入りしてからの通算は、打者として2871打席、wRC+は146、ファングラフス社のWAR19.9、投手としては延べ1951人の打者と対戦、ERA+は142、ファングラフス社製のWARは11.8だった。そのため「このことは、簡単に言えば、彼がいつの日かどちらかを諦めるとしたら投手の方だろうという憶測の種をまくことになる」とした。

 3つ目は、あまりに独特な状況だ。「もしまた投げることで障害にぶち当たった場合、彼は再び投げるために求められる苦悩と休養に耐える道を選ぶか」と疑問を投げかける。「ただ外野に立って平均的な野手と評価されるだけでも、WARでMVP級の7から9をたたき出せる。その上打者に専念して野手としての技を磨いたら、ピーク時にはジャッジの2022年のようなシーズンを送ることできるだろう」と懸念する。

「二刀流は3年間続き、肘がだめになった。次の二刀流は30代の時になる。彼の意思や能力を疑う者はいないが、全力での2度目の二刀流が(最初より)長く続く可能性はコイントス(半々)に過ぎない」と同メディア。とはいえ、世界中を魅了する大谷の二刀流復活を、誰もが待っている。

(Full-Count編集部)

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