W杯も開催…広島で高まる“女子野球熱” 「どこを目指すのか」名選手たちが集まるワケ

女子野球チーム「はつかいちサンブレイズ」【写真:橋本健吾】
女子野球チーム「はつかいちサンブレイズ」【写真:橋本健吾】

女子日本代表の正捕手を務める村松珠希さん「関西や関東に比べ中四国は発展途上」

 広島カープをはじめ、多くのスポーツチームが存在する広島県。近年、注目を集めているのが廿日市市を本拠地とする女子野球チーム「はつかいちサンブレイズ」だ。日本代表の村松珠希捕手など実力ある選手が在籍。今回、Full-Countでは日本を代表する2人の選手に女子野球の魅力を語ってもらった。

 女子野球日本代表は来年行われる「第9回WBSC女子野球ワールドカップ」で前人未踏の7連覇を狙っている。“最強JAPAN”の扇の要として期待されているのが村松さんだ。女子プロ野球、阪神タイガースWomenなどを経て2022年からサンブレイズに所属している。

 今年9月に三次市で開催された「WBSC女子野球W杯グループステージB」でも5戦全勝でグループステージ突破を決めている。関西出身の村松さんが広島でプレーすることを決めた理由は「女子野球は関西や関東に比べ、中四国は発展途上。自分が動ける時にもっと盛り上げたいと思いました。また、自分が成長できる環境、機会がここにはあります」と胸を張る。

 サンブレイズは廿日市市に本社のある建設会社「ダイサン」がスポンサーを務める企業チーム。公式戦が行えるほどの専用球場を構え、選手たちは正社員として働きながら野球を続けることが可能。安定した給料と充実した環境の元でプレーできることは大きなメリットだ。

「大きな目標は女子野球が当たり前の文化になること。昔は女子がグラブを持っているだけで珍しい光景だった。やりずらさを感じている子もたくさんいた。今でこそ脚光を浴びることもありますが、もっと女子がプレーしていることが当たり前になればと思っています」

3度の金メダル獲得に貢献した磯崎由加里さん「女子選手たちが将来的にどこを目指していくか」

 今季限りでチームを退団するが、日本代表として3度の金メダル獲得に貢献した磯崎由加里投手も「小さい子が目指したい場所を作りたい」との思いを胸に持つ。32歳とベテランの域に入ってもプレーヤーとして続ける理由を「やっぱり野球が好き」と純粋な思いを吐露する。

「この年齢になるので女子プロ野球を辞めた時も違う仕事を考えたり、もうそろそろいいかなと思った時もありました。ですが、ふと考えたときに常に野球が頭にある。できることがあれば女子野球に携わる仕事をしたい。自分の経験を若い子たちにアドバイスできれば。恩返しというほどじゃないですが、野球には関わっていきたいと思っています」

 女子高校野球の決勝が甲子園、東京ドームで開催され、年末にはNPB、MLBで活躍したイチロー氏が女子高校選抜と試合を行うなど知名度は各段に上がってきている。ただ、高校以上のカテゴリーで目指す場所がないのも事実。現在は阪神、巨人、西武が女子チームを運営しているが、他球団への拡がりはまだ未知数な部分もある。

 磯崎さんは「女子選手たちが将来的にどこを目指していくのか。目指すべき場所が必要になってくると感じています。NPB12球団の元にチームがあれば、メディアに出る機会も増えるのかなと。女子野球熱を一過性に終わらせてはいけない」と、危機感も抱いている。

 サンブレイズは地域密着を掲げ、プレー以外にも野球教室や自前のカフェでの交流などファンと一緒に楽しめるイベントなどを多く企画している。選手たちは広島の地から全力で女子野球の魅力を伝え、普及させていく。

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