SNSにあふれる野球理論、本当に正しい? 迷う情報選択…NGは「良し悪し」判断

「エースフォー野球塾」で講師を務める今泉翔太さん【写真:フィールドフォース提供】
「エースフォー野球塾」で講師を務める今泉翔太さん【写真:フィールドフォース提供】

「エースフォー野球塾」の講師・今泉翔太氏…「選手に合うものが正解」

 膨大な情報から、どれを選べば良いのか。野球用品を開発・販売しているフィールドフォースが運営する「エースフォー野球塾」で講師を務める今泉翔太さんは、情報の取捨選択に迷う選手や保護者に明確な基準を示している。「良いか悪いか」ではなく、「合うか合わないか」。選手によって必要な情報や理論は違うという。

 SNSが普及し、野球の理論や練習法はあふれている。「情報過多」とも言える状況で、パフォーマンスアップにつなげる取捨選択は難しい。社会人まで野球を続け、現在はエースフォー野球塾で主に小学生を指導している今泉さんは、選手や保護者にこう伝えている。

「どんな理論や練習法も、合うか合わないか個々で違います。それぞれの情報が正しいか間違っているかではなく、選手に合うものが正解なので、答えは選手によって変わると思っています」

 選手や保護者からは、プロ野球選手や野球に特化したユーチューバーの動画を示されて、「この理論は正解ですか? どこが良いのですか?」などと質問されるという。今泉さんは何でも取り入れるのではなく、一定期間続けてみて、結果が出るかどうかを試すようにアドバイスする。

 結果とは試合で安打を放つ、三振を取るといった意味ではなく、自分が思った通りのプレーができるかどうかを指す。例えば、逆方向へゴロが打てるか、狙ったコースに投球ができるかなど、意図した結果を得られれば、自分に合った方法と判断できる。

子どもたちに指導する今泉さん【写真:フィールドフォース提供】
子どもたちに指導する今泉さん【写真:フィールドフォース提供】

選手の試行錯誤にこそ成長のヒントがある

 選手によってベストな理論や練習法が異なると考えているため、今泉さんは特定の方法を選手に押し付ける指導をしない。個々のフォームを個性ととらえ、打ち方や投げ方の修正は最小限にとどめる。

 ティースタンドを使った打撃練習で、フライを打つ狙いでスイングしたにもかかわらずゴロになった選手には、フライにならなかった理由を問う。「ボールの上の方にバットが当たったから」と答えを出した選手は、ボールの下側にバットを当てる打ち方を模索する。その試行錯誤に成長のヒントがあると今泉さんは考えている。

「独特なフォームで活躍しているプロ野球選手には華がありますし、選手の個性を大切にしたいと思っています。選手が思ったようなプレーができない時は、体の使い方などでヒントや選択肢を示します。その中で、選手が自分に合った方法を見つけていけるように指導しています。自分で考えてたどり着いた技術や練習法は身に付きやすいと考えています」

 選手にヒントや選択肢を示す際、今泉さんは大げさにやってみるように伝える。その方が動きの違いを認識しやすく、結果の違いも出やすいからだ。選手たちは体の大きさも特徴も性格も違う。全ての選手に効果がある方法を探すよりも、自分に合ったやり方を見つけて継続する方が、パフォーマンスアップを期待できる。

〇今泉翔太(いまいずみ・しょうた)
1995年8月2日生まれ、福島県浪江町出身。小学3年生で野球を始める。県立福島東高校では3番・遊撃手でプレー。平成国際大では1年生からリーグ戦出場。大学4年から外野手に転向し、2022年まで社会人チームFedexに所属。現在はフィールドフォースが運営する「エースフォー野球塾」で主に小学生を指導。

(間淳 / Jun Aida)

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