応募300人超で12歳少女が「No.1左腕でした」 叶えた目標…母が代弁する“苦悩”
中日ジュニアに11年ぶりの女子選手…岐阜出身の片山さくらさん
26日に開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2023」で、中日ドラゴンズジュニアは2年ぶり5度目の優勝を目指す。有望小学生が集ったチームの背番号1を担うのは、最速115キロの左腕・片山さくらさん。紅一点の12歳は、地元・岐阜が生んだスターの背中を追い、全国に挑む。
各チームのセレクションで選ばれた小学5、6年生が、プロ野球選手と同じユニホームを着てプレーできる憧れの舞台。年末の恒例イベントとなっており、19回目を迎える今年は28日までの3日間、神宮球場と横浜スタジアムで開催される。中日ジュニアは過去最多4度の優勝を誇り、東海地方の小学生たちにとって大きな目標のひとつ。今年は過去最多315人の応募があり、精鋭16人が選出された。
競争率は20倍近い狭き門で、女子選手が選ばれるのは2012年以来、11年ぶり。前回大会から指揮を執る元中日左腕の山北茂利監督は「300人以上の中でナンバーワン左腕だった」ときっぱり。指導者側の意向や選手自身の希望を踏まえた上で、片山さんは望んだ背番号を手に入れた。
「(同じ)岐阜出身なので意識しています。同じように活躍したい」
そう思う相手は、現中日の根尾昂投手。大阪桐蔭高で春夏連覇を達成し、2018年ドラフト1位でプロ入りした同郷のヒーローは11年前の2012年、中日ジュニアの一員としてこの大会に出場。背番号1をつけていた。そんな憧れの存在に自らを重ねるための「1」だった。
チームの練習がない平日も父と一緒に2時間汗流す
普段はおとなしい性格だが、マウンドでは全く物おじすることはない。11月下旬に岐阜・関市で行われた中学生との練習試合では、最速115キロの直球と、右打者の内角に投げ込むクロスファイヤーを武器に堂々たる投球を見せた。
所属する養老ファイターズの練習のない平日は、帰宅後に父に手伝ってもらい、2時間ほど汗を流す。「YouTubeで左投手の動画を見て参考にすることもあります」。毎日練習に明け暮れる。その成果が、中日ジュニア入りというひとつの形になって現れた。
まだまだ伸びしろばかりだが、成長過程でぶつかる“壁”は確かにある。母が代弁する。「女の子の方が、5年生までは成長が早かったんです。でも、6年生になる時期には男子の成長スピードも上がってきて、今までと同じ様には行かなくなった苦悩もあると思います」。徐々に筋力の差などが出てくる時期に差し掛かった愛娘に心を寄せる。
ただ、選ばれた選手しか立てないマウンドに向かう姿は、親としてこの上なく誇らしい。「背番号1は重いかなと思っていましたが、昔からドラゴンズジュニアを目標に頑張ってきたその夢が叶ってよかったなと思います」。小学校生活の集大成として、懸命に左腕を振る。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)
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