小学生への指導がまるで“高校レベル” 日差しまで計算…ベイJr.の抜かりなき「準備」
2016年以来の優勝を狙うDeNAベイスターズJr.…荒波翔監督が伝える「考える野球」
26日に開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CAP 2023」で、昨年に続き、横浜DeNAベイスターズジュニアを率いる荒波翔監督は、様々な引き出しを駆使して、約680人の中から選ばれた16選手に「考える野球」の楽しさを伝えている。
荒波監督自身、横浜高から東海大、トヨタ自動車とアマチュア球界の名門を渡り歩き、2010年のドラフト3位で横浜(現DeNA)に入団。2019年にはメキシカンリーグでプレーするなど、多くの野球観に触れることで知識を深めてきた。
「自分のことをただやるのではなくて、『考えて野球をやろう』と彼らには日頃から言っています。ランナーに出ても、ただ打ったら走るんじゃなくて、第2リードをしっかり大きくとるとか、高校生にさせるようなことまで、いろいろと準備をさせています。将来的に絶対必要になってくるから、しっかり覚えておこう、と」
2012年、2013年と外野手部門で2年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得した名手は、守備指導も高度だ。選手にサングラスをかけさせ、太陽を正面にフライを上げ、まぶしい中での捕球練習も行う。
「横浜スタジアムでの試合で(試合開始の)9時15分ごろは、サードやレフトは日差しが入ることがあります。『(サングラスを)つけていたら捕れたのにな』って後悔するよりも、一発勝負なので、起きるかわからないようなプレーでもしっかりやらせています」
昨年は打力重視の選考を行ったが、初戦は2-5で接戦を落とし、2試合目こそ3発を放ち5点を奪ったが、7失点が響いて連敗で大会を終えた。昨年からウレタン素材などを使用した“飛ぶバット”の使用が禁止されたこともあり、今年は守り勝つ試合をイメージし「ある程度、球速が出る子を意識してセレクションしました」と自慢の投手陣に目をやる。
「投手3本柱」を中心に堅い守備で…16人一丸となって戦う
その中心となるのが、右オーバーハンドの小林勝投手(6年=東門前ガッキーズ)、右サイドの染谷晟吉投手(6年=中山ヤンガース)、そして左腕の渡邉颯音投手(りくと、6年=坂本少年野球部)と、それぞれタイプの異なる「3本柱」だ。
最速121キロと力で押す投球スタイルが持ち味の小林は、「希望としては先発をやりたいですけど、抑えだとしても、自分の役割を全うして、チームに貢献したいです」と自覚たっぷり。
投手専任で、最速116キロの直球を投げる染谷は、「低めの伸びのあるストレートには自信があります。相手にも『あいつは凄いやつだったな』っていう、爪痕を残せるような選手になりたい」と力強い。
渡邉は最速110キロの直球に緩急をつけながら打者を幻惑する技巧派。「アップのやり方や二塁牽制など、プロはこういうことをやっているんだなと勉強になるところが多いです。気持ちが弱いところを強くして、自分の仕事をしっかりと果たせるように頑張りたいです」と意気込んだ。
荒波監督は言う。「みんな頑張ってくれているので、どうやって使おうかなと、いい意味で悩ませてもらっています。やっぱり勝った方が楽しいですよね。この大会を1つの経験として、順調に階段を上がって、プロの場でまた会えたらうれしいです」。
2016年大会以来、7年ぶり2度目の優勝を目標に、16人が一丸となって戦い抜く。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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