井端ジュニアに監督も感心しきり「本当に素晴らしい」 父譲りの“野球センス”

三塁打を放ったベイスターズジュニア・井端巧【写真:田中健】
三塁打を放ったベイスターズジュニア・井端巧【写真:田中健】

横浜DeNAベイスターズジュニアは全4試合で逆転勝利

“ミラクル・ベイ”旋風が吹き荒れた。全国選りすぐりの小学5、6年生が集まる「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2023」は28日、神宮球場で準決勝、決勝が行われた。侍ジャパン・井端弘和監督の長男・巧(たくみ)内野手が主将を務める横浜DeNAベイスターズジュニアは、決勝で読売ジャイアンツジュニアに3-2で競り勝ち、第19回を迎えた同大会で7年ぶり2度目の優勝を飾った。4試合全てが劇的な逆転勝利だった。

 準決勝、決勝が立て続けに行われた大会最終日。ベイスターズジュニアはまず、東京ヤクルトスワローズジュニアとの準決勝で、初回になんと5点を先行されながら、驚異の粘りで7-5と逆転勝ち。決勝でもジャイアンツに2点リードを許したが、焦りはなかった。

「3番・遊撃」で出場していた巧くんは、1点ビハインドの4回、先頭で三ゴロを打つと相手の悪送球を誘い、一気に二塁へ進塁。ベンチへ向かって派手なガッツポーズを繰り出し、チームメートを鼓舞した。次の打者がワンバウンドを振らされて三振に倒れると、相手捕手が一塁へ送球する隙を突いて三塁を奪う。そして渡部大和捕手の右前適時打で、同点のホームを駆け抜けた。

 結局巧くんは、決勝では3打数無安打に終わり、「プレッシャーがかかってしまった。勝てたのはチームのお陰。最高の仲間でした」と頭を下げたが、こうして地味なところで、勝利のために欠かすことのできない仕事をこなしていたのだ。荒波翔監督は「野球勘が本当に素晴らしい」と感心しきりで、「(巧くんが5年生で出場した)昨年はノーヒットで悔しい思いをしただけに、今年に懸ける思いが強かった。1戦目にヒットが出たことで気持ちが楽になったようで、キャプテンとして感情を出して、チームを引っ張ってきてくれたと思います」と称賛した。

 決勝では5回に軽込珀翔(かるこみ・はくと)内野手の中前適時打で勝ち越し、6回を抑えて歓喜の優勝決定。振り返ってみれば、26日の広島東洋カープジュニアとの初戦で、最終回に2点差をひっくり返し逆転サヨナラ勝ちしたのに始まり、翌27日の東北楽天ゴールデンイーグルスジュニア戦でも、初回に1点先行されたのをものともしなかった。全4試合で相手にリードを許しながら、驚異的な粘りを見せた。

特大ソロを放ち、走塁センスが光った4試合3盗塁6得点

 巧くんは4試合で打率.385(13打数5安打)。中堅への特大ソロを1発見舞い、3盗塁もマーク。たびたび好走塁を見せて全試合でホームを踏み、計6得点を記録した。一方、最優秀選手賞に選出されたのは、決勝で同点打を放った渡部くんだった。下位の8番を打った準決勝では、同点3ランを含め、3打数3安打4打点。5番に打順を上げた決勝もソロ1発を含む2打数2安打2打点で、1日で5打数5安打6打点2本塁打の大暴れだった。

 その渡部くんも、主将の巧くんには「体の大きさが全く違うし(167センチ、70キロ)、キャプテンでショートという試合を左右するポジションで大事なものを背負いながら、みんなを鼓舞する打撃や守備をしてくれた」と一目置いていた。

 閉会式でプレゼンターを務めた井端監督は、優勝カップを息子と染谷晟吉投手の2人に手渡し、握手も交わして感慨深げ。侍ジャパンのトップチームと、中学生世代のU-15代表の監督を兼務している立場から「今大会に出場した選手の中から、U-15代表に1人でも多く入ってきてくれるのを待っていたいなと思います」と語った。近い将来、国際大会で日の丸を背負う“父子鷹”が実現するかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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