広島にいる逸材は「江藤智になる可能性」 専門家も期待…覚醒間近の“右の大砲”
野球評論家・新井宏昌氏が広島のブレーク候補を選出
広島は昨季、4年連続Bクラスの低迷から、前評判を覆しリーグ2位に躍進した。今シーズンは11.5ゲーム差をつけられた阪神との差をどこまで埋められるか。野球評論家の新井宏昌氏は「1年間、結果を残しチームを引っ張る役割が求められる」と、覇権奪回への“キーマン”を挙げた。
新井政権2年目は厳しい船出になりそうだ。長年、打線の軸としてチームを支えた西川龍馬外野手がFA権を行使しオリックスへ移籍。新井氏は「野手の中では確実に計算できる一番の打者。打線から西川がいなくなるのは大きな痛手」と、全ての打順に適応する3割打者の穴埋めは容易ではないとみている。
一方で「チーム、NPBでもトップクラスの選手になる可能性はある」と、大きな期待を寄せているのが、プロ6年目を迎える小園海斗内野手だ。昨季は「1番・遊撃」で開幕スタメンを勝ち取るも、不振で4月に2軍落ち。だが、7月に再昇格を果たすと状態を上げ、最終的に80試合に出場し打率.286、6本塁打31打点をマークした。
その後は24歳以下で構成された侍ジャパンに選出され「アジアチャンピオンシップ」では優勝に貢献した。「打撃の柔らかさがあり、緩急をつけられても対応できる。少し時間はかかったが、本物のレギュラーとして1年通して試合に出られれば、西川の穴を埋める可能性はある」と指摘する。
右の大砲として期待を寄せているのが、プロ3年目を迎える末包昇大外野手だ。昨季は65試合に出場し打率.273、11本塁打27打点をマーク。得点圏打率.361と勝負強さも魅力で「一発が打てる右打者は貴重。気持ちの面でも左右されないメンタルもある。ポジションこそ違うが、将来的には江藤智のような選手になる可能性はある」と、球団OBで通算364本塁打のスラッガーに例えた。
昨季のチーム本塁打はリーグ4位の96本。最多の19本塁打を放ったデビッドソンが退団し、9本塁打の西川もオリックスへ移籍した。一発長打を狙える絶対的な大砲がいないだけに「チームとして打撃面では課題の一つ。新助っ人にも期待したいが、シーズンが始まってみないと分からない。右の大砲として末包、堂林あたりが1本立ちしてくれれば戦力は格段に上がると思います」と新井氏。
3連覇を果たした2018年以来のリーグ制覇を目指す広島。若手が台頭し世代交代が進めば、優勝争いも十分に可能だ。2年目を迎える新井カープの育成、采配にも注目が集まる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)