「不安なんです」山川穂高が漏らした本音 圧倒的実績も…“グラウンド一番乗り”のワケ

ソフトバンク・山川穂高【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・山川穂高【写真:藤浦一都】

不思議に感じた若手時代「先輩を見てるとすごい朝早いなって」

 誰よりも早く、グラウンドに姿を見せるのには確固たる理由がある。西武からFA権を行使してソフトバンクに加入した山川穂高内野手は、宮崎市内で行われている春季キャンプ3日目も、チーム全体のウォーミングアップが始まる前に、1人でストレッチやランニングを行い、入念に体を温めていた。

 新天地でのアピールと捉えられる向きもあるが、そんな意図は一切ない。山川はこう語る。「年を重ねるごとに、不思議なものというか、僕が若い時に先輩を見てる時にすごい朝早いなって思っていたんですが、何となくその意味が分かってくるんです。不安なんです」。11年目を迎える今季。32歳になり、自身の身体も確実に変化している。若い頃にはなかった“不安”が、早出の理由だ。

「若い時は極限まで寝て、ギリギリに来て、それでも体が動く。僕はいきなり体を動かすとやばい可能性があるので、そういう意味で早く来て、少しでもストレッチしたり、ジョグしたりして、そこからアップに入るっていう。アップに入る前に、もう1回アップがいるので。そういう意味ではアピールとかそういうことでもなく、そうしないと、ただ不安なだけです」

 本塁打王を3度獲得した実績があろうと、年齢による身体の変化には抗えない。若い時は不思議に感じていた、先輩達が球場に早く来る理由を今、身をもって実感している。

 だからこそ、準備に充てる時間は必然的に増えていく。朝は5時半に起床し、すぐに約40分のマッサージを受ける。その後、朝食を摂り、球場に向かうのがルーティンだ。「お尻まわりを中心に、ハム、ふくらはぎ、腰回りですね。この辺が固まってくるとやっぱり可動域が狭くなって、走るのもバッティングもちょっと余計な力が入っちゃうんで」。自身の体と向き合い、パフォーマンスを向上させるための準備を欠かさないことは“一流プレーヤー”としての模範だ。

 10年間のキャリアで積み上げてきた実績はもはや説明不要。今更アピールをする必要がないほどの成績を残している。「誰よりも早く来るんだとか、誰よりも遅く帰るんだっていうのは決めてるわけではないです」。今年11月には33歳になる。新天地で迎えるシーズン。結果を残すためにやるべきことを、きっちりやる。そんな気持ちがあるからこその行動だった。 

(飯田航平 / Kohei Iida)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY