巨人にトレード移籍で驚いた“鷹との違い”「マジですごい」 プロ6年目で戸惑った伝統
伝統がにじみ出る「ジャイアンツタイム」…泉も驚き「みんな早い! すごい!」
1分1秒に、伝統球団としての重みがある。まだまだ慣れるのに必死な日々だ。Full-Countのインタビューに応じた巨人の泉圭輔投手は、昨年11月にソフトバンクから移籍が決まり、新天地で初の春季キャンプを過ごしている。古巣と巨人の違いを比較すると「驚いたことは時間がすごいです。ジャイアンツタイムがマジですごいです。みんな早い! すごい! 本当にすごいですこれは」と即答する。
「ジャイアンツタイム」とは、選手たちに浸透する時間への意識を指している。例えば午後1時が集合時間とアナウンスされていれば、30分ほど前にはもうほとんどの選手が揃っている。伝統球団だからこそ統一された時間への高い意識のことだ。移籍する前から泉も「話は聞いてはいましたけど、すげえなって思いますね」と驚く。「大体、30分前から人が集まり始めるんです。僕も25分くらい前に行ったらもう結構人がいます」と、実際の時間よりもかなり早めに行動するように心がけている。
巨人の選手として過ごす初めての春季キャンプ、第1クールのある日のことだ。「オンタイムでいいですっていう連絡が来たんです。それでオンタイムでいいんだって思って、ちょっと保険をかけて15分前に行ったらもうみんないました」と苦笑いで振り返る。3月で27歳となる年代。他の選手たちを待たせないように必死で、自分の中に浸透するように日々を過ごしている。「ジャイアンツすげえなって思いました」というのも、巨人が作り上げた伝統だ。
移籍して初の春季キャンプ、部屋が隣の高橋礼と“起こし合いっこ”
「投手陣はもうみんな仲良くしてくれています」と、雰囲気には少しずつ慣れてきた。泉と高橋礼投手、巨人からはアダム・ウォーカー外野手が移籍する2対1のトレードだった。今オフの補強で、巨人には新戦力が多いだけに「特に移籍してきた組ですね。礼さんもですし、近藤(大亮投手)さんや馬場(皐輔投手)さん、みんなでわからないことを共有して、なるべく円滑に、順調にキャンプを進めていけるようにはしています」と情報共有は欠かさない。球団ごとに違う細かいルールに慣れるのも、選手の仕事の1つだ。
特に、ソフトバンク時代から同僚の高橋礼とは宿舎でも部屋が隣だという。厳しい時間への意識を踏まえて「朝起きて、礼さんを絶対に起こしに行くんですよ。それがあれば自分が起きないといけないし、最悪起きていなくても向こうが起きていたら、なんとかなるので。そこはもうお互いに連携プレーですね」と、まさに二人三脚だ。野球以外のところで評価や印象が悪い方向へ行かないように、一挙手一投足まで大切にして、開幕1軍を目指している。
今季が6年目で、全てが初めての日々。「移籍してきてまだちょっとですけど、身体的な疲れというよりは、本当に頭を使っているなっていう気疲れは感じますね。気を遣っているわけではないですけど、色々とついていくのに必死なので」。自分の中でジャイアンツタイムが当たり前というほど落とし込めた時、選手としてもきっとレベルアップができるはず。巨人の伝統そのものに、泉のプロ意識は磨かれ、人として成長させてもらっている。
(竹村岳 / Gaku Takemura)