高反発バット「飛び過ぎて怖い」 指導者感じた“異変”…速過ぎは「怪我で済まない」
「ロゴスランドカップ」は安全面を考慮…高反発バット規制の反応
「スポーツ×アウトドア」をコンセプトに、子どもも大人も笑顔になる学童野球交流大会「ロゴスランドカップ 2024」(主催:株式会社スポーツバックス)が、今月3、4日の2日間、会場の鴻ノ巣山運動公園(京都府城陽市)などを舞台に開催。野球だけでなくアウトドアアクティビティも楽しめる新コンセプトが人気を呼び、関西、四国、中国、北陸の幅広い地域から9チーム約200人の選手が参加。試合後には、総合アウトドアレジャー施設「ロゴスランド」へ移動し、バーベキュー交流会が開かれるなど週末を満喫した。
勝敗以外の“付加価値”も求める大会だけに、トーナメント制で順位を決めつつも、敗者トーナメント、順位決定試合も用意され、参加チームは2日間で3試合は確保。さらに、「大人の罵声・怒声禁止」という特別ルールが敷かれている。そしてもう1つ、子どもたちの安全面を考慮し、「6年生の高反発バット使用を禁止」としたのもユニークなところだ。
各メーカーが打球の飛距離を追求した“飛ぶバット”は、ボールが当たる部分にポリウレタンなどの高反発素材が使用され、従来のバットより反発係数が高いのが特徴。子どもでも容易にヒットが打てるようになったと言われる一方で、打球に勢いが増すことで投手・野手が怪我をしてしまうなどのリスクも潜んでいる。
安全面を最優先する目的で、全日本軟式野球連盟は昨年12月、2025年から学童部における高反発バットの使用制限を発表(「少年用」は規制せず)。今回の「ロゴスランドカップ」は、いわば先駆けての導入となった。
高反発バットが使えないとなると、ヒットを重ねて得点に結びつけるためには、これまで以上の技術が必要になる。前年の大会初代王者「オール城陽」を率いた、学童野球チーム「西城陽MVクラブ」副代表の木村仁志監督は、今回の制限で「実力不足を感じました」と語る。
「高反発バットは飛び過ぎるんですよね。小学生は両翼70メートルの枠内でプレーしますが、半端な打ち方でもスタンドに入ることがあるんです。そんなの考えられんこと。特に5、6年前くらいから(反発性が高くなったことで)、そのようなことが起こるようになったと感じます」
選手に怪我をさせてしまう危険性…野球の楽しさを知るための併用も
城陽市内の複数チームから選抜された6年生主体の「オール城陽」は、高反発バットが使用できる5年生チームに攻撃面で押された。勝敗以外の付加価値がコンセプトとはいえ「出るからには勝ちたかった」と語るが、それでも高反発バットの規制には賛成だ。
「飛び過ぎるということは怖いこと。打球が速くなるので、守る側が怪我をする危険性が大きくなったと思います。当たりどころによっては怪我で済まされなくなる」。失明や心臓震盪(しんとう)などが起こるリスクを減らすために、使用を控えるべきだと語る。
今大会の王者に輝いた多賀少年野球クラブの辻正人監督は、次のように語る。「(高反発バットは)スイングがまだ形になっていない子でも飛んで、打つ楽しさを感じられるメリットはありましたよね。小さい子は使って、うまくなれば使わない。そんな感じで我々も使い方を変えていこうかなと思います」。
公式戦での使用は禁止となるが、練習での使用はチームごとの判断になると見込まれている。練習では安全面に配慮しつつ、打球を飛ばすロマンを感じてもらうために高反発バットを利用し、同時に技術を高めて“低反発”に対応していく。そのような使い分けも、できるかもしれない。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)
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