巨人が王者・阪神に植え付けた「昨季との違い」 最悪18敗からの逆襲へ「攻めの10球」
巨人が阪神に9-4で完勝、先発の戸郷が見せた“内角攻め”
巨人は22日、開幕カードの前哨戦となる阪神とのオープン戦(那覇)に9-4で勝った。初回に7安打7得点の猛攻を見せ、阿部慎之助監督の“初陣”を飾った。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「今季に向けたメッセージを感じる一戦だった」と語った。
先発したのは開幕投手に指名されている戸郷翔征。先頭の近本には左前安打を浴びるも、その後は中野、森下、大山を打ち取り無失点にまとめた。変化球を投じたのは2球だけ。昨季の“日本一打線”を強気の投球スタイルで封じた。
オープン戦初戦ということもあり1イニングの登板だったが、野口氏は「キャンプ中に少し遅れることもあったが、それを感じさせないボールの力がありました。この時期でここまでの投球ができるのは順調。あとは微調整を行い、開幕は問題ない」と評価した。
1イニングを14球で1安打無失点。その中で野口氏が注目したのは配球だった。先頭・近本ら4人の主力に対し14球中10球が内角と偏っていた。「インコース攻めが目立ったように見えます。厳しく攻める。バッテリーか首脳陣からなのか分かりませんが『去年とは違う』という意味もあったのではないでしょうか」と野口氏は分析した。
昨季は阪神を相手に6勝18敗1分。球団ワーストの敗戦数だった。宿敵・阪神との勝敗は覇権奪回へのカギを握るだけに、オープン戦とはいえ主力相手に“攻めの姿勢”を植えつけたともいえる。
苦手・伊藤将から7得点…門脇の犠打に見えた指揮官の“メッセージ”
初回の攻撃では相手先発・伊藤将から一挙7得点。昨季は打率.196と抑え込まれていた苦手左腕から4番・岡本和が右前適時打で先制。適時失策で2点目を奪うと、その後は6番・佐々木から5者連続適時打の猛攻だった。
「坂本や丸といった主力を欠く打線でしたが、各打者は甘く入った球を逃さない。開幕1軍を争う若手たちにとってもいいアピールになった。阿部監督は本番を想定した攻撃も見せていました」
先頭の松原が中前打、続くオコエが四球を選び無死一、二塁の場面では3番・門脇には送りバントのサインを送った。オープン戦初戦ながらも、確実に好機を広げ4番・岡本和に任せる戦術。「本来は3番に坂本、2番に門脇。シーズンでは『こういった攻め方をする』という意味合いがあったように見えます」と野口氏は見る。
開幕戦の阪神を相手に“新生・巨人”を見せつけた阿部監督。覇権奪回へ、1か月後に控える「伝統の一戦」ではどのような戦いを見せるのか、注目が集まる。
(Full-Count編集部)