MVPトリオで会見も…全9問のうち8問を独占　韓国で予感する“大谷翔平シリーズ”

大谷らドジャースMVPトリオの記者会見に熱気、LAタイムズ記者は半袖で参戦

　ソウルは気温14度。春の訪れを感じされる陽気だったが、ドジャース・大谷翔平投手の会見は熱気に帯びていた。日米韓のメディア100人以上が集まり、座っているだけなのに額には汗をかく。「ここ暑いな」。近くに座っていたロサンゼルス・タイムズ紙の名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者は、もう半袖だった。

　ベッツ、フリーマンと“MVPトリオ”で臨んだ15分の記者会見。笑顔の受け答えとなったが、少し困惑させたのが韓国人の通信社記者による結婚に関する質問だった。

「初めて報道陣の前に奥様と姿を見せて、スッキリした気持ちはありますか？　あとは結婚の内容。馴れ初めとか出来る限り、言えることがあれば、ここで言ってください」

　韓国シリーズに向けた記者会見だったが、完全なプライベートな質問だった。フリーマンから「行くんだ！　ショウ」とイジると、会見場には笑い声が漏れた。「詳細はインタビューで答えた通りなので、ここで言う必要はないかなと思うんですけど。（妻が）公式戦を見るのも初めてですし、そういう意味ではいい思い出になるのではないかと思うので。そこも含めて、自分のやることにしっかり集中したいなと思います」。完璧な回答。隣に座っていたベッツは“お疲れ様”と言わんばかりに左肩を揉む仕草を見せた。

　大谷が韓国・ソウルを訪れるのは2012年のU-18野球ワールドカップ以来12年ぶり。注目度はピカイチだ。タクシーに乗った際に行き先を伝えると、「オオタニを見に来たの？」と質問された。50代の運転手。野茂英雄から日本の野球に興味を持つようになったという。こんなことも言っていた。

「オオタニはアジアの誇りです。昨年も毎朝起きて彼のプレーを見るのを楽しみにしていました。その彼が韓国に来てくれるだけで嬉しいです」。バックミラーに映る表情は笑顔そのものだった。

　報道陣がドジャース3選手へ質問したのは全9問。大谷は9問中8問に答え、5問が大谷個人に当てられた質問だった。ドジャース3選手の会見後には、前日に仁川空港で卵を投げつけられたデーブ・ロバーツ監督の会見が予定されていた。ある意味、注目だったはずだが、それまで満席だった記者席は空席が目立つようになった。

　韓国初のMLB公式戦。やはり“大谷シリーズ”になりそうな予感がする。「特に慣れてはいないですけど、本当にやることだけに集中して。注目してもらえるのはありがたいこと。自分がやるべきことに集中したいなと思っています」。異次元の注目にも頼もしく言い切った。

（小谷真弥 / Masaya Kotani）