栗山英樹や侍J井端監督ら門出をお祝い 王柏融が牽引する台湾の新球団・台鋼ホークス

台鋼ホークス・王柏融(左)と日本ハム・栗山英樹CBO【写真提供:台鋼雄鷹球団】
台鋼ホークス・王柏融(左)と日本ハム・栗山英樹CBO【写真提供:台鋼雄鷹球団】

台鋼ホークスは台湾の1軍に参入…元NPB勢では王柏融やモヤ、笠原がいる

 35年目を迎えた今年の台湾プロ野球で最大の目玉といえるのが、新球団・台鋼ホークスの1軍参入による16年ぶりの6球団制復活だ。中心打者には元日本ハムの王柏融外野手、元オリックスのスティーブン・モヤ内野手がいる。4月5日に高雄市の澄清湖球場で行われた富邦ガーディアンズとの本拠地開幕戦ではスペシャルゲストとして、王柏融の恩師で、昨年のWBC優勝監督の栗山英樹氏(現日本ハムCBO=チーフ・ベースボール・オフィサー)、2022年の球団創設時からキャンプで客員コーチを務める侍ジャパンの井端弘和監督を招かれた。

 栗山氏は前日4月4日、台北ドームでの試合前にも王柏融を訪れ、激励していた。そして生まれたチーム1号本塁打。王柏融は「栗山監督が幸運をもたらしてくれた」と感謝した。始球式には侍ジャパンの新旧監督が参加。王柏融からバットを手渡された栗山氏が山なりのボールを空振りし、ワンバウンドで捕手役の井端監督のミットに収まった。

 本拠地開幕の先発は元中日、DeNAの左腕・笠原祥太郎投手だった。走者は出しながらも要所を締め6回無失点の好投。打っては「魔鷹」こと4番のモヤが初回に2ラン、3回にソロと2打席連続本塁打。3番の王柏融は中前適時打を放ち、台鋼が4-0で勝った。お立ち台に上がったモヤは、お気に入りだという漫画「NARUTO」の印結びのポーズを披露しファンを沸かせた。

 台鋼は台湾球界において「日式」といわれる。劉東洋GMは日本留学経験があり、CPBL職員時代に日本球界各方面とのパイプを築いた「日本通」だ。日本人指導者も1軍に横田久則投手統括コーチ、里隆文トレーニングディレクターコーチ、2軍に福永春吾投手コーチ補佐と3人在籍しているほか、井端氏や吉見一起氏も客員コーチを務めてきた。

BCリーグ埼玉武蔵のエースだった小野寺賢人は「テスト外国人」から加入

 選手では、笠原についてはNPB合同トライアウト前からマークし、即獲得交渉を行ったほか、日本の独立リーガーのトップ選手に注目。昨年、チーム初の外国人選手となった元阪神、徳島の福永春吾は怪我により指導者に転向したが、BCリーグ埼玉武蔵のエースだった小野寺賢人投手にはアジアウインターリーグの「テスト外国人」の1人としてオファーし、獲得した。

 元NPBの選手も多い。台湾人では王柏融の他、元横浜の王溢正投手、ドラフト会議までの練習生契約ながら元西武の張奕投手も2軍でプレーしている。外国人選手ではモヤや笠原のほか、2軍では、元広島のブレイディン・ヘーゲンズ投手が支配下登録を目指す。1軍打撃コーチを務めるのは、元巨人のルイス・デロスサントス氏だ。

 5月6日時点で成績は6勝17敗。首位・統一から12ゲーム差、4位タイの富邦とは4ゲーム差で、最下位となっている。横田コーチは「戦うならば目指すのは優勝。プレーオフ圏内の3位になればいいという考え方はない」と強調。「新チームが簡単には勝てないのも現実。一試合一試合しっかり戦うことで、後期シーズンに向けた力を備えていく」と前を向く。

 日本市場を重視する台鋼では、公式X(旧ツイッター)でも日本語で情報を発信している。各国の野球のトップリーグで、ゼロから立ち上がった球団の成長ストーリーを見られる機会は稀だ。日本とゆかりのある指導者、選手が多く、今後日本球界との交流も期待される台鋼に注目したい。

(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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