大ブーイングの大谷翔平を見て実感した“敵軍のスター” 元エ軍番記者が吐露した本音
大谷の新人時代を取材したグラルダード記者、今はジャイアンツ番記者に
青いユニホームで躍動する大谷翔平投手を“敵軍番記者”として見て様々な思いが込み上げてきた。MLB公式サイトのジャイアンツ番、マリア・グアルダード記者は2018年にエンゼルス番として大谷を取材した。「彼が7億ドル契約を手にすると、2018年に想像していたかどうかは、私にははっきりわかりません」。嬉しそうにほほ笑む。
ドジャースと10年総額7億ドル(約1085億円)という破格の契約を結んだ大谷は今季、打率.364、12本塁打、30打点という成績を収め、打者専念にも関わらず、昨季に劣らぬインパクトを残している。13日(日本時間14日)からの敵地・ジャイアンツ3連戦でも3戦連続マルチ安打をマークし、14日(同15日)には飛距離446フィート(約135.9メートル)の特大弾。宿敵を黙らせた。
グアルダード記者は2018年にエンゼルス番記者として大谷を取材。翌年から現在までジャイアンツ番記者を務めている。二刀流として鳴り物入り入団したとはいえ、当時は今のように大量の日本メディアは来ていなかった。「私がここ(サンフランシスコ)で(日本メディアを)見た中では圧倒的に数が多いですね」と当時と比較して驚く。
2018年に新人王を獲得したが、同年は右肘の靱帯損傷が発覚。オフにトミー・ジョン手術を行うなど、投手としては10登板で4勝2敗、防御率3.31だった。「日本で才能がある選手だとは知っていたけど、メジャーで疑問もあった。当時は私が二刀流として彼の姿を見れたのは最初の2、3か月だった。それでも、彼が健康でい続けられれば(二刀流として)活躍できるとことを初めて垣間見ることになりました」と振り返る。
今でも忘れられないのは、同年4月1日(同2日)の敵地・アスレチックス戦でのメジャー初先発。大谷は6回を投げ3安打3失点6奪三振で初勝利を飾った。「あの試合で、我々は彼の剛速球だったり、スプリットだったり、打者を愚かな姿にさせるところを見たんです。(メジャーでやっていけるかどうかの)最初のテストでしたし、彼ならできると我々は目撃したんです。マウンド上でしびれる球を投げていました。彼の新人のシーズンを思い返すと、それが一番印象に残っているわ」。6年経っても鮮明に思い出せる。
「二刀流をする能力があると、彼が証明する姿を今こうして遠くから見るのは興味深いことです」。1年目を見てきたグアルダード記者にとって、ライバル球団のスターとして大ブーイングを受ける大谷を見ることは、感慨深いことだった。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)