“退屈な”定番セレモニーが激変 勝負の前に大合唱…元強打者も衝撃「見たことない」
ポニー理事・井戸伸年氏が提案…開・閉会式のエンタメ要素がもたらす効果
野球の楽しさはプレーだけではない。開会式や閉会式にエンタメ要素を取り入れ、子どもたちの思い出に残る大会を企画する――。これまでにない取り組みを行っているのがポニーリーグだ。今年3月に同リーグの理事に就任した、兵庫県の中学硬式チーム「関メディベースボール学院」の井戸伸年総監督に話を聞いた。
3月に沖縄で行われた「エスプランナーカップ・第8回全日本選抜中学硬式野球大会」は、試合前から大きな盛り上がりを見せた。開会式ではシンガー・ソングライターのHARTYさんが、ポニーリーグ公式応援ソング『夢中になり描こう夢』を披露すると、球場全体がまるでコンサート会場のような雰囲気に様変わりした。
音楽に合わせてノリノリでリズムをとる子どもたちの姿があり、その他にもエイサーと沖縄獅子舞の演舞、地元の民謡太鼓が登場するなど“セレモニー”は大盛況に終わった。従来の形式ばった開会式とは違う、演出を提案したのが井戸総監督だった。
「スタジアムとして皆が楽しめる空間を作る。どうせやるなら、たくさんの人に見てもらって、スタンドを埋め尽くしたい。それに、音楽と野球のコラボはすごく相性がいい。リズム感を養うことができ、全てがつながってくる。子どもたちだけでなく、親子で一緒になって楽しめるものを実現したい。これまでも自チームではやっていたのですが、受け入れてくれたポニーの柔軟さに感謝ですね」
思い出に残る中学野球にしてほしい…引退試合にもエンタメ性
関メディの子どもたちからすると見慣れた光景ともいえる。例えば、チームの引退試合は大阪・舞洲の大阪シティ信用金庫スタジアムで行い、試合前には歌手やチアリーダーを招くなど、プロ顔負けのセレモニーで場を温める。野球の技術はもちろんだが、チームとしては「思い出に残る中学野球」を感じてほしいと願っている。
ポニーリーグの役員たちも、井戸総監督の熱い思いに共感した。春の全国大会で取り入れたセレモニーに、理事長を務める元ヤクルトの広沢克己氏も「こんなの見たことない」と大喜びだったという。試合が始まれば子どもたちは真剣勝負で頂点を目指し、試合前後は敵味方なく交流し、仲間を称え合う光景が広がっていた。
昨年4月にヤングリーグから転籍し、今回の全日本選抜を含めて、ここまで全国大会3連覇を達成した関メディ。中学野球界の“革命児”としてポニーリーグでも新たな旋風を巻き起こしていく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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