番記者に聞く大谷翔平MVPの可能性 “出口調査”で本音、ベッツ超えに必要な圧倒的成績
大谷はWARで1位も…番記者の総意は「現時点ではベッツ」
ドジャース・大谷翔平投手は22日(日本時間23日)の時点で、打率.354、13本塁打、34打点、OPS1.068と驚異の成績を残している。いまだ5月だが、すでに今季のMVP候補としても名前があがる。ただ、現時点でライバルとなるのが同僚のムーキー・ベッツ内野手だ。
エンゼルス時代の昨季、史上初となる2度目の満票MVPを獲得した大谷は今季、右肘手術の影響で打者に専念している。指名打者メインでプレーした選手で、MVPを獲得した選手はメジャーの歴史でゼロ。史上初の快挙で両リーグMVPに期待がかかっている。
レースの上で一番のライバルはベッツだろう。今季から遊撃に転向し、ここまで打率.330、8本塁打、OPS.970をマークしている。22日の試合前の時点でデータサイト「ファングラフス」が算出するWARでは、大谷が「3.2」、ベッツが「3.0」でナ・リーグの1位、2位となっている。
では、2人の活躍を日頃から見ているドジャースの番記者たちはどちらに入れるのか。ドジャースタジアムでMLB公式サイトのフアン・トリビオ記者、地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」のジャック・ハリス記者、米スポーツ局「ESPN」のオールデン・ゴンザレス記者、地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」などに寄稿するダグ・パディラ記者に出口調査。4人全員が「現時点ではベッツ」と答えた。
遊撃転向がベッツへ追い風「打ち破るのは難しい」
いずれの記者が共通して話したのは、ベッツが遊撃へ本格的に転向して1年目ということ。ハリス記者は「ムーキーは守備負担の大きいポジションでプレーして、十分なレベルでこなしているし、攻撃面での数字はオオタニが彼を少し上回っているだけ」と分析。ゴンザレス記者も「議論の余地はあるかもしれないがフィールド上で最も負担の大きいポジションで成長し続け、ドジャースに大きく貢献している。さらにMVP級の打撃も見せている。彼を打ち破るのは難しい」と分析する。
一方でどの記者も大谷がMVPを獲得することを否定はしなかった。トリビオ記者は「指名打者で獲るとしたら彼だろうね。本塁打、打点、打率など、信じられない数字を残している」と理由を明かす。ゴンザレス記者も「投げない、守備的な価値を見出さないとなると、打者として(成績面で他の打者と比べて)違いを際立たせる必要がある。でも今の彼はそれをやっているところ。3冠王や、もしかしたら40本塁打&40盗塁も達成する可能性がある勢いだ」と舌を巻く。
では、大谷がMVPを獲るにはどうしたらいいのか。この質問には記者それぞれで反応が分かれた。ハリス記者が指摘したのは盗塁と勝負強い打撃だ。「盗塁が大きな助けになると思う。去年、ロナルド(アクーニャJr.)がMVPを獲得したのは盗塁の影響も大きかった。それと重要な場面でのタイムリーな打撃も助けになるかもしれない。今月彼はそれが(今シーズンの現在より前の時点と比べ」うまくできている」。トリビオ記者は「50本塁打のような大きな数字を残すこと」。ゴンザレス記者はベッツを打撃指標で圧倒的に差をつけることがMVP獲得の鍵とした。
パディラ記者も「もしショウヘイが(今後も)中軸でいい活躍をすることができれば、チャンスはあるでしょう」とみる。そして、その後の返事は少しユニークだった。大谷が後半戦で守備に就くことや登板することでMVPの可能性が高くなることについて言及。「リスクが大きすぎる。MVP投票は2位か3位に終わるかもしれないけど、来年二刀流をして9シーズンMVPを獲得すればいいのです」。いずれにせよ、大谷への期待値が高く、さらなる高みを目指せると番記者たちも思っていることだけは、間違いなさそうだった。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)