低迷オリに“救世主”…巨人圧倒の19歳が「浮上のキーマン」 専門家が見た凄み
オリックスの高卒2年目右腕・齋藤響介は5回1安打無失点の好投でプロ初勝利をマーク
■オリックス 5ー0 巨人(8日・東京ドーム)
オリックスの齋藤響介投手が8日、東京ドームで行われた巨人戦に先発し、5回無失点の好投でプロ初勝利を挙げた。巨人打線を1安打に封じた19歳のホープに野球評論家の新井宏昌氏は「コンマ何秒の世界だが、捉えることが非常に難しい。ほぼ完璧な内容だった」と、分析した。
高卒2年目とは思えない冷静なマウンド捌きだった。2点リードで迎えた4回。連続四死球で無死一、二塁のピンチを背負うも坂本を147キロの直球で空振り三振、立岡を左飛、最後は前の打席で右前打を浴びていた大城を139キロのフォークで空振り三振に仕留めた。
5回無失点と堂々たる投球を見せた右腕に新井氏は「やや高めに浮くような場面もあったが、ゾーンで勝負できる球の勢いがあった。真っすぐを捉えていたのはヘルナンデスの中直だけ。一番のポイントはタイミングの取りづらさだと思います」と評価した。
新井氏が注目したのは齋藤の投球フォームだ。テイクバックの小さいショートアームで、左足を上げてもほぼ溜めがなく流れるように打者に向かっていく。140キロ中盤の直球でも打者は差し込まれる場面が多く見られた。抜群の制球力がなくともゾーン内で勝負できる理由はどこにあるのか。
5回86球での降板も「チームが浮上するキーマンの1人」
「球に強さがあることが大前提ですが、ショートアームでボールの出所が見えづらい。独特の間合いがあるように見えます。コンマ何秒の世界ですが、打者は判断する時間が短くなるので高めのボール球にも手を出してしまう。感覚的には捉えたと思ってもファウルになり、逆に早めに始動するとフォークで崩されてしまいます」
それを象徴する場面は5回にあった。先頭・泉口は145キロの直球をフルスイングするも、打球は失速し杉本の好プレーに阻まれ右飛に倒れた。スタンドインしてもおかしくなかったが「東京ドームで角度的にも本塁打になってもいい打球ですが、ほんのわずか詰まった。打者の感覚にズレが生じている証拠です」と指摘する。
巨人打線は2巡目でも齋藤のボールを捉えることはできなかった。自己最多の86球を投げ、5回無失点での降板はやや早い気もするが「ベンチとしてもう1イニングいってほしかったでしょう。ただ、この先も戦力として考え無理はさせなかった。チームが浮上するキーマンの1人になる存在であることは間違いない」と新井氏。
高卒2年目右腕の活躍もありチームは今季初の4連勝をマークした。ケガ人だらけの苦しい状況に変わりないが、今季最多だった借金「9」から4つ返済し、交流戦もこれで6勝5敗。パリーグ3連覇の王者が勢いに乗ってきた。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)