女子版GT戦に観客6000人…巨人宮本監督が描く“プロ化”の夢「女子野球盛り上げたい」
侍ジャパン女子代表は今月開幕のW杯で大会7連覇の偉業に挑む
巨人と阪神が運営する女子硬式野球チーム「読売ジャイアンツ女子チーム」と「阪神タイガースWomen」の交流戦が13日、東京ドームで行われ、巨人が4-2で逆転勝ちした。この交流戦は昨年から甲子園球場と東京ドームで行われており、対戦成績は巨人の3勝1分となった。女子チームは阪神が2021年、巨人が翌2022年から始動している。
デーゲームの巨人-DeNA戦終了後、東京ドームのスタンドに6000人の観客が残り、午後7時2分から開始された女子版“伝統の一戦”。阪神が2回に2点を先制したが、巨人はその裏に田中美羽外野手の適時二塁打で追い上げ、4回には2死満塁で長田朱也香内野手が2点二塁打を放ち逆転。守っては先発の清水美佑投手が7回を2失点で完投した。
巨人の宮本和知監督は、試合終了後もなかなか興奮が冷めなかった。「相手に先制されたけれど、ベンチにネガティブな空気はありませんでした。そもそも日頃から、僕自身がネガティブな気持ちになっている時でも、練習に行くと元気になれるのが女子野球なのです」と力説。「その理由は、彼女たちの一生懸命さにあると思います。涙は付き物で、練習で泣いて、勝って泣いて、負けて泣いて、ヒットを打って泣いて、三振して泣いて、涙だらけの毎日ですが、今日初めて見ていただいたお客さんにも、女子野球の素晴らしさが伝わったのではないか」と語った。
阪神も1軍のホームゲーム用と同じ、縦縞のユニホームを着て臨んだ。木戸克彦監督は現役時代にタイガースの正捕手として鳴らした経験があり、「今日は勝ちたかった。東京ドームで(ホーム用の)縦縞を着れる機会はめったにないからね。オールスターしかないんちゃうかな」と地団駄を踏みつつ、「ジャイアンツさんとやる度に課題をもらっています。練習して、強くならないとジャイアンツさんに失礼。ジャイアンツさんとウチで一緒に女子野球を盛り上げていきたい」と力を込めた。
選手たち共通の願いは、女子野球の認知度アップである。ヒロインインタビューを受けた巨人の田中、長田、清水は口々に「女子野球をもっと広めていきたい」、「球場を満員にできるように盛り上げたい」、「面白く報道してください!」とアピールしていた。
一方、この3人はいずれも現在、侍ジャパン女子代表にも名を連ねており、今月28日にカナダで開幕する「第9回WBSC女子野球ワールドカップ ファイナルステージ」に大会7連覇の偉業を懸けて出場する。「自分の良さを出して7連覇に貢献したい」と清水。国際大会で活躍すれば、女子野球全体にとってさらなる追い風になるはずだ。
最後に「もっと上のステージを、我々が作ってあげないといけない」とボルテージを上げたのは、巨人の宮本監督。「もっと上のステージとは?」と聞くと、「プロ化です。まだまだ先は長いかもしれないけれど、やれることから段階を踏んでやっていきたい」と夢を描く。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)