阪神戦力外→都市対抗で躍動…北條史也が与える“好影響” 監督が驚いたグラウンド外の姿

三菱重工Westの北條史也【写真:町田利衣】
三菱重工Westの北條史也【写真:町田利衣】

三菱重工West・北條史也が先制2ラン&V打で5打点…トヨタ自動車を撃破

「第95回都市対抗野球大会」は25日、東京ドームで第7日が行われ、第1試合で三菱重工Westが昨年覇者のトヨタ自動車を9-2で破った。昨年限りで阪神を戦力外になり加入した北條史也内野手が、120メートル弾など2安打5打点。津野祐貴監督は、NPB通算455試合出場の豊富な経験を持つ29歳がチームに与える影響を証言した。

 かつて何度もプレーした場所で、元虎戦士が輝いた。3回1死二塁、北條が放った打球は左翼スタンド上段まで届き、強敵から先制点を奪い取った。東京ドームでは2021年4月22日以来、実に1190日ぶりのアーチとなった。同点とされた直後の7回には、1死満塁から左中間を破る走者一掃の二塁打。この回一挙7得点の猛攻を呼び込んだ。渾身のガッツポーズに「プロでもああいう場面で打てたらガッツポーズはしますけど、(喜びが)全然違いますね」。負けたら終わりの戦いで放った一打に、充実感がにじんだ。

 2012年ドラフト2位で光星学院高から阪神に入団。4年目の2016年には122試合に出場して打率.273、5本塁打、33打点、6盗塁という成績を残した。しかし結局はこれがキャリアハイに。故障などもあり出場機会を減らし、昨季は1軍出場がなく、戦力外通告を受けた。

 荒波に揉まれたプロ11年間。その“強さ”が加わったことは、チームにとっても大きい。津野監督は「やはり技術。技術が非常に高いので、走攻守全てでチームの勝利に貢献してくれているんじゃないかなと思います」と目を細める。2番に座りチャンスメークもポイントゲッターもこなすだけに「彼は両方対応できる打者でもありますから」と絶大な信頼を寄せた。

 さらに指揮官が驚いたのは、グラウンド外での姿だった。「野球に対する取り組み方とゲームに対する準備の仕方。その辺は素晴らしいものがあります」。舞台が変わってもやるべきことをしっかりと行う背中を見て、多くのことを学んでいる同僚たちも多いだろう。

「この雰囲気を楽しんでいこうと。悔いだけは残さずという気持ちで、思い切ってやれていると思います。自分というよりチームが大事です」と北條。社会人野球最高峰の舞台で、その笑顔はひときわ輝いていた。

(町田利衣 / Rie Machida)

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