大社の大応援が「ずっと気になった」 相手エースに“異変”…球場飲み込んだ脅威
大社の大応援の中で…神村学園が4強進出を決める
第106回全国高校野球選手権大会は19日に準々決勝4試合が行われた。第4試合では神村学園(鹿児島)が8-2で大社(島根)を下し、2年連続となる4強進出を決めた。先発マウンドを託されたエースの今村拓未投手(3年)は、4回に同点に追いつかれたところで降板。「相手の声援、プレッシャーに負けてしまって、自分のピッチングができなかった」と笑顔はなかった。
強豪校を続々と破って勢いに乗る大社の一塁アルプスは超満員。初回から球場を飲み込む大音量の応援が響いた。初回、神村学園は大社の先発・岸恒介投手(3年)の前に3者凡退。大社の1番・藤原佑外野手(3年)が打席に入ると、キューティーハニーに乗った「ふじわらゆう!」のコールが響き、あまりの応援の大きさに内野の客席はどよめいていた。
マウンドの今村の耳にも大応援は響いていた。制球に苦しみ、ボール球が増えていくほどアルプスからの声援も大きくなる。藤原に四球を許すと、1死三塁から遊ゴロの間に先取点を与えてしまった。「ボール1球を投げると大歓声が沸き起こって、アルプスからのプレッシャーを感じていました」。
サインを見てセットポジションに入ると、紫の大応援団が嫌でも目に入る。「球場全体を巻き込んで応援していて、1回気にしてしまったらずっと気になってしまった。それくらい凄い応援だった」。1点リードの4回には、無死一塁から山本佳汰投手(3年)のバントを今村が捕球して二塁へ送球するも、ボールが逸れてピンチが拡大。続く園山純正内野手(3年)のバントは一塁へ送球しようとするも、大きく上に逸れて同点に追いつかれた。
今村はここで降板。2番手の早瀬朔投手(2年)が5回以降を無失点に抑え、打線は救援登板した相手エースの馬庭優太投手(3年)を打ち崩した。2年連続の4強となったが、「早瀬に助けられた。いけるところまでは行こうと思っていたんですけど、相手の声援、プレッシャーに負けてしまって、自分のピッチングができなかった」とエースは唇を噛んだ。
21日の準決勝では関東一(東東京)と決勝進出を争う。「次は修正してマウンドにあがりたい」。エースとして臨む甲子園。このまま終わるわけにはいかない。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)