慣れるのは「簡単ではない」 痛恨3連敗…専門家が指摘する広島の“希望の綱”
巨人に3連戦3連敗喫しゲーム差は「4」に広がる
広島は10日から12日まで、本拠地マツダスタジアムで行われた巨人との3連戦で3連敗を喫し、6年ぶりのリーグ優勝から一歩遠のいた。首位・巨人とのゲーム差は「4」。巻き返しの可能性は、まだ残されているのか。オリックス、広島、ソフトバンクなどで名打撃コーチとして鳴らした野球評論家・新井宏昌氏が分析した。
12日の3戦目。広島は3回の守備で先発の床田寛樹投手が、バント処理の際に一塁へ悪送球し先制点を献上。坂本勇人内野手に打たれた一、二塁間への内野安打も、「菊池(涼介内野手)の守備力をもってすればアウトにできた打球ではなかったか」と新井氏は見た。
珍しく綻びが見られたが、堅い守備こそが広島の強みで、巻き返しへ向けて頼みの綱だ。11日の2戦目には、本領が発揮されたシーンもあった。初回1死一塁の守備で、吉川尚輝内野手が三塁線ギリギリに放った痛烈なゴロを、逆シングルでさばいたサード・小園海斗内野手のプレーは出色だった。相手のサード・坂本が2度、同じような打球にバウンドを合わせ損ねて後逸した(1つは適時二塁打、もう1つはエラーで打者走者は二塁へ)のと対照的だった。
「私は3年間、マツダスタジアムを本拠地に戦った経験(2013~15年に広島1軍打撃コーチ)がありますが、打球がイレギュラーして試合の流れが変わったことが何度もありました。非常にきれいに整備してくれているのですが、内野の土質は甲子園の黒い土などと違い、赤みがかっていて、バウンドが不規則。内野手にとっては、高く跳ねるのか、地を這ってくるのか、読みにくて守備に神経を使います」と明かす。
「坂本は、昨年まで主に守っていたショートであれば、バウンドを見ながら準備する時間的余裕ありますが、打者に近いサードではそうはいきません。特にマツダスタジアムの土への対応は、簡単ではないと思います。その点、ホームの小園には慣れがあるのでしょう」と解説する。
広島の三塁・小園、遊撃・矢野雅哉内野手、二塁・菊池の内野陣は鉄壁。特にゴールデン・グラブ賞10回の名手・菊池は「常にグラブを地面につけて、イレギュラーに対応できる態勢で守っています」と解説する。難易度の高いマツダスタジアムとなれば、なおさら広島の優位性が高まると言える。
「今回の3連戦ではマツダの利点を生かした戦いはできていましたが、試合をものにしきれなかった」と新井氏。広島の今季残り試合は「19」(12日現在、以下同)で、そのうち10試合がマツダスタジアム。本拠地で巨人にリベンジするチャンスも3試合残っている。ホームアドバンテージを生かし切れるかどうかが、逆転Vの鍵になる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)