NYディナー欠席→寝相チェンジ 左肩負傷の大谷翔平が施した7つの“こだわり”

試合後、取材に対応したドジャース・大谷翔平【写真:小谷真弥】
試合後、取材に対応したドジャース・大谷翔平【写真:小谷真弥】

「痛い、痛くないはあまり考えていなかったです」

【MLB】ドジャース 4ー2 ヤンキース(日本時間29日・ニューヨーク)

 闘う姿勢を崩さなかった。ドジャース・大谷翔平投手は左肩亜脱臼から強行出場した後に会見場に登場。4回1死一、二塁では左腕コルテスに空振り三振。初球、6球目を振った際には明らかに表情を歪めていた。それでもグラウンドに立っている以上、決して弱みを見せなかった(1)。

「打席の中ではあまり覚えてないです。痛い、痛くないという感じは、顔にどの程度出ていたか分からないですけど、あまり考えていなかったです」

 26日(日本時間27日)の第2戦に二盗を狙った際に左肩を亜脱臼。患部を悪化させないため、全てに最善を尽くした。まずは走塁時。初回先頭の四球、9回1死の死球と2出塁したが、リードを取る際、走る際は左手でユニホームの首元付近をつかんで患部を固定した(2)。帰塁も足から戻った(3)。

「試合の中ではもう痛い、痛くないは考えていない。痛くないという気持ちでやっていますし、悪化だけはしないように。走塁の時もそうですけど、最低限のやれることは継続してやりたい」

 試合前の両軍メンバー紹介ではジャケットを羽織り、黒いサポーターのようなもので患部を温めた(4)。

「試合中もずっと温めて。冷やさないのが大事と言われていたので、試合中もずっと温めるような器具をつけてました」

 試合開始時は気温11.1度。本拠地ロサンゼルスで行われた第2戦は気温25.0度だった。肌寒さを感じる環境も何とか乗り切った。

私生活でも意識チェンジ、寝相は「なるべく固定をして」

 グラウンド外でもベストを尽くした。悪夢の負傷から数時間後、チームがニューヨークへ移動する直前にチームのグループチャットに「大丈夫だ。試合に出るつもりだ」とメッセージを送った。2連勝スタートしたチームに水をさすことを何より懸念。言葉で闘う姿勢を見せた(5)。

「チームの士気だけは下げたくなかった。みんなが万全の状態で出てるわけではない。どこかしら痛みを抱えながら出ている選手も多いので」

 当初予定されていたスケジュールも変わった。練習日だった27日夜に予定されていた選手や家族、チーム関係者が集うチームディナーを欠席(6)。3時間の時差があり、「きつい」という東海岸でのゲーム。グラウンド外の調整で最も重視する睡眠はドクターからの助言を受けて寝相を変えた(7)。

「なるべく固定して。枕を挟んで固定したりだとか。寝てない時は(左肩を)逆に動かして、固まらないようにと言われていました」

「やった時はどうなっているか分からなかった」という左肩の負傷。試合に向けたブレない心構えも口にした。

「出る準備をするのが当然のことではあるので。その上でチームが必要だと言ってくれるのであれば、最善の準備をして試合に臨みたいなという感じです」

 チームは投打ががっちり噛み合って3連勝。2020年以来4年ぶりのワールドシリーズ制覇に王手をかけた。今回の左肩の負傷も、大谷にとっては激動の2024年シーズンのスパイスとなりそうだ。

「もちろん、明日決められることに越したことはないですし、そのためにまた明日みんなであと1勝勝てるように、明日の試合に集中したいと思います」

 ずっと思い描いてきたワールドシリーズ制覇。悲願まであと1勝だ。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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