数字上はほぼ互角でも…ヤ軍が怠った「基本プレー」 致命的な課題が生んだ“屈辱”

味方の好守に雄叫びを上げるドジャースのムーキー・ベッツ(左)と落球したヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:ロイター】
味方の好守に雄叫びを上げるドジャースのムーキー・ベッツ(左)と落球したヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:ロイター】

ヤンキースはWS1勝4敗でドジャースに敗れた

 大谷翔平投手、山本由伸投手が所属するドジャースは、ワールドシリーズでヤンキースを4勝1敗で下した。米紙「ニューヨーク・ポスト」のジョエル・シャーマン記者は「ドジャースはヤンキースの致命的な弱点を知っており、それを残酷に暴露した」との見出しで、両球団に浮かび上がった“差”を指摘した。

 ドジャースは打率.206、7本塁打、25得点で、ヤンキースは打率.212、9本塁打、24得点。似たよな数字が並び「紙の上では互角だった。しかし実際の試合では、ヤンキースは第1戦と第5戦で大失態を犯した」。

 30日(日本時間31日)の第5戦、ドジャースは5点ビハインドから逆転し、最終的に7-6で勝利した。5回にはアーロン・ジャッジ外野手、アンソニー・ボルピー内野手が失策で流れを失った。同紙は「ヤンキースは、ドジャースに次々とプレゼントを贈った」とし、5回の守備について「おそらくワールドシリーズ史上最悪の守備イニングだった」と厳しかった。

 では、なぜこのような守備が起きてしまったのだろうか。「ヤンキースは10月になると、ア・リーグ中地区のチームにしか勝てない。それは彼らがルーティンプレーをうまく実行できないからだ。競争のレベルが上がると、ゲームの基礎的な部分の欠点が完全に露呈してしまう。それに対しての対応の仕方は毎年同じで、(打者は)より多くのホームランを、(投手は)より多くの空振りを追い求めるているようだ。もちろんそれは価値のあることだ。しかし、ドジャースのように、敵チームも同じことができる場合、何が違いを生むのだろうか?」と変らない現状を明かす。

 ヤンキースは今シリーズで3本のフェンス直撃打を放ったが、ベッツの好守に阻まれ2本は単打だった。「ベッツのような殿堂入り級の選手さえも、真剣に目的を持って、外野の壁から跳ね返ったボールを次々と処理する。野球をうまくやるためには、熱意、集中力、誇りを持って、ルーティンを執拗に強調し、練習することが必要だ」と説いた。

「ドジャースがスカウティングミーティングで選手たちに伝えたのは、ヤンキースは才能を重視し、基礎的なプレーを軽視しているということだった。ドジャースが意図を持って積極的に走塁すれば、ヤンキースは自滅するだろう。ヤンキースにそうさせるには、(ドジャースは)ボールをイン・プレーにすることが非常に重要だとも伝えられた。またドジャースのデータでは、ヤンキースの外野の位置の取り方が最悪であるとされており、リレー送球で誰もコントロールせずにボールが内野に転がる回数や、ジャズ・チザムJr.がプレー中におかしな位置にいたり、ただ立っているだけという頻度に驚かさた、ということだ」

 さらに同記事は「怒り心頭のヤンキーファンはブーンとキャッシュマンの解雇を望んでいるだろう。ブーンとキャッシュマンは、もっとクリーンなプレーをするように(選手に)求め、それを実現できるのだろうか? (キャプテンである)ジャッジは、チーム内からもっと高いレベルでそれを強制できるだろうか」と疑問を投げかける。両リーグのチャンピオン同士には、大きな差があった。

(Full-Count編集部)

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