長距離遠征の連敗に「もっと真剣に考えて」 堅守自慢のホークスJr.が施す“一流の準備”

福岡ソフトバンクホークスジュニアの帆足和幸監督【写真:高橋幸司】
福岡ソフトバンクホークスジュニアの帆足和幸監督【写真:高橋幸司】

福岡ソフトバンクホークスジュニア・帆足和幸監督は「自ら考え、行動できる力を」

 将来はプロ野球選手を、さらには“世界一”を目指してほしいからこそ、逸材小学生たちに伝えたいことがある。26日から神宮球場とベルーナドームを舞台に開催される「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」に出場する福岡ソフトバンクホークスジュニア。就任6年目の帆足和幸監督は、自慢の守備力を含めて能力の高い選手が集うからこそ、戦いに臨む上での土台や心構えの大切さを説く。

「家を出る時から準備ができていたか」「練習から1つ1つ、投手の球をイメージしてバットを振れているか」――。12月中旬、岡山・倉敷に遠征しての阪神ジュニア、広島ジュニアとの練習試合で連敗を喫した直後、帆足監督は穏やかな口調ながらも、厳しい言葉を並べてベンチ前で選手たちに問いかけた。

 この日は早朝に福岡を立ち、新幹線、電車、バスを乗り継いで、到着後間もなくゲーム。序盤に失策が絡んでの失点があったり、工夫のない打撃が続いたりしたことに、プロの世界で15年を投げ抜いてきた視点から“あえての苦言”を呈したのだ。

「東京での本戦でも移動が伴います。その中で、いかに準備を整えて試合に臨めるか。なかなか一振りで仕留めるのが難しい中、普段からの野球に対する準備が結果につながってくる。そこを、もっと真剣に考えてほしいと思って話をしました」

 2021年と昨年は4強入り。今年も多彩な投手陣と堅守、俊足ぞろいの切れ目ない打線でチームの前評判は高い。しかし、いかに個々の能力が高くても、準備が疎かであれば試合で勝つのは難しい。「自ら考え、行動できる力。周りの状況を把握して判断できる力は、野球を続けていく上でも普段の生活でも重要なことです」。野球人生が始まったばかりの子どもたちは早くも、一流から貴重な学びを得ている。

ピッチング、遊撃守備、打撃でも活躍が期待の主将・山崎海和【写真:高橋幸司】
ピッチング、遊撃守備、打撃でも活躍が期待の主将・山崎海和【写真:高橋幸司】

一番の自信は堅守…“四刀流”が売りの主将は「壁当てでも1球1球集中して」

 この日は少し綻びが見えたとはいえ、指揮官が最も自信を持つのが投手を中心とした守りだ。「心を鬼にして選んだ」精鋭16人のセレクションでも守備力を重視。「ジュニアでは金属や木製バットを使うので、芯に当てる技術がなければ(打球が)飛びません。練習も例年に比べて守備を多めにやってきましたし、守備からリズムを作るのが今年のチーム」と期待を寄せる。

 主将を務める山崎海和(かいと)選手(6年=大野リトルファイターズ)も、最速120キロの投球など「守・打・投・走の“四刀流”」を自負する中、最も自信があるのは遊撃を務める守備だという。「捕球体勢とかキャッチボールとか、壁当てでも1球1球集中して基礎を大切にやってきました。誰にも負けたくないと思って(選考でも)アピールしました」と目を輝かせ、「チームは元気があっていつも明るい。失敗を恐れずに全力で戦いたいです」と力を込めた。

練習試合の合間に素振りに励む選手たち【写真:高橋幸司】
練習試合の合間に素振りに励む選手たち【写真:高橋幸司】

 6年間ジュニアの指揮を執り、普段はアカデミーで指導している帆足監督だが、子どもたちへの懸念点も感じている。顕著な体力低下だ。

「体は大きいし、投げる球も速い。それなのに柔らかさがなかったり体幹が弱かったり、基礎的な体力がない子が年々増えているように感じます。今年のジュニアも例年通りの練習量のはずなのに、ついていけない子が初めは多かった」。そこで、週末の活動では、日曜日に必ず1時間程度、体幹強化や股関節の柔軟性向上などのトレーニングを導入。食事を含め、野球をする上での“土台の重要性”も伝えている。

 球団として「世界一」を目標に掲げているホークス。もちろん、ジュニアが目指すものも同じく“頂点”だ。「ジュニアトーナメントは子どもたちの憧れでもあり、価値のある大会。日本一を見据えて戦うのみです」。未来につながる教えを授けながら、2009年以来2度目の優勝をつかみ取る。

(高橋幸司 / Koji Takahashi)

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