左投手の方が成功率は高い? 盗塁王直伝の“走る術”…「スタート切ったら勝ち」の極意
元西武・金子侑司氏実演…ウオーミングアップから意識したい走塁への準備
プレースタイルは人それぞれで、何か1つでも“武器”を持っている選手は強い。「アシックス×金子侑司選手 走塁クリニック」が今月18日、小学6年生から中学3年生までの55人が参加して東京都内で開催された。昨シーズンまで西武で活躍して盗塁王2回を誇った金子氏が、武器となり得る“走り”の技術を伝えた。
走る意識を高め、その準備が大切さだという金子氏は、まずは試合前のウオーミングアップでのポイントを説く。
「僕が現役時代に大事にしていたことは、体を『伸ばす』『刺激を入れる』『軽くする』ということでした」
腿(もも)を上げるジャンプ系の動きでは、「踵(かかと)を上げて跳ねるイメージで。できるだけ、足が地面に着いている時間を短くする」意識が大切。さらに、「速く走るのは、その延長。走るときに地面に足が着いている時間が長ければ長いほど遅くなる」とも語る。
盗塁技術での指導では「投手にプレッシャーをかけ、単純に二塁ベースに近くなる。そのために大きいリードが必要だよね」と、子どもたちに盗塁を試みる基本を伝える。二塁への盗塁における大切な意識や動きについては、こうも言う。
「スタートを切って、セカンドベースだけを見て走るのではなく、一度、打者の方向を確認してほしい。盗塁のサインが出ていたら打者はバットを振らないかもしれないけど、捕手が投球を後逸するかもしれない。プレーがどうなって、ボールがどこにあるのかを確認しながら走ることは大切だと思います」
「雰囲気を変えられる」盗塁は大きな武器となる
プロ通算225盗塁の金子氏は「左投手のほうが盗塁しやすかった」と、自身の経験談も交えて参加者に盗塁の極意も話した。
「左投手は牽制が遅い。だから、リードを大きく取れる。スタートを切ったら『勝ち』という意識がありましたね。それが走る勇気にもなった」
プレーにおける武器を“足”と自覚して、その持ち味を磨き続けた中で「盗塁は試合の雰囲気を変えることができる」と実感した金子氏は、さらにこう続ける。
「盗塁でアウトになるとチームのチャンスを潰すことになる。それだけ難しいことですが、盗塁を成功したときの球場の盛り上がりがすごいんです。僕はそこに喜びを感じていましたし、他の選手がホームランを打ったときよりも、僕が盗塁を決めたときに盛り上がるようにしたい。そう思ってやっていました」
「足を活かしてプレーしてきた」と野球人生を振り返る走りのスペシャリストの金言は、子どもたちの走る意識を大いに高めたようだ。
(佐々木亨 / Toru Sasaki)
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