“左投げ三塁手”でも「長けている」 ノーヒッターに豪快弾…13歳逸材の確固たる選択

駿台学園中・藤森一生【写真:近藤俊哉】
駿台学園中・藤森一生【写真:近藤俊哉】

巨人Jr.で活躍→中学軟式・駿台学園中へ…藤森一生は1年春から投打守に活躍「将来メジャーへ」

 東京に驚くべき“三刀流”の超逸材がいる。しかも、まだ中学1年生だ。2022年の全国中学校軟式野球大会(全中)で初優勝を果たした強豪・駿台学園中(東京都北区)でプレーする藤森一生(かずき)選手。小学生時代に全国大会で活躍し、巨人ジュニアの一員としてNPBジュニアトーナメント準優勝に貢献した俊英は、中学軟式野球の舞台でも圧倒的存在感を示している。

 シートノック練習から休むもなくフル回転だ。投内連係、中堅での外野ノック、そして左投げながら三塁での内野ノックと、グラブを替えながら器用にこなす。そして、その3ポジションのどれもが一級品。体のバネを感じさせる抜群の身のこなしから捕球体勢に入ると、そこから矢のようなスローイング。強豪チームの中でも、上級生と見紛うような存在感を放っている。

「一番しっくりくるポジションは、小学校の時からプレーしている投手やセンターです。サードは、投手として体の開きを抑えるためにやっていましたが、どんどん重ねてやっていくうちに、難しさというか、器用じゃないとダメだということがわかりました」

 同中学を率いる西村晴樹監督は、「どこをやらせても判断力に長けている」と評価する。2011年4月の監督就任以降、左投げの選手に三塁を守らせるのは初めてだという。

「彼は左投げなので、高校に行ったら投手か一塁、外野を守ることが多くなる。だから、今のうちに色々なポジションをやって野球を勉強しておこうということで守らせています。肩も一番強いですね」(西村監督)

 小学校時代から才能は傑出していた。軟式少年野球チームのレッドサンズ(東京都文京区)に所属し、小6時には全日本学童野球大会マクドナルド・トーナメントでベスト4。読売ジャイアンツジュニアの一員に選出されると、「NPB12球団ジュニアトーナメント」では最速129キロの直球を武器に2勝1完投、打っても1本塁打2盗塁の活躍で準優勝に貢献し、優秀選手賞を受賞した。

「将来はメジャーリーガーに」と意気込む藤森【写真:近藤俊哉】
「将来はメジャーリーガーに」と意気込む藤森【写真:近藤俊哉】

憧れは大谷、今永、糸井氏…「卒業までに人間性をしっかりと組み立てたい」

 中学では硬式ではなく、軟式の駿台学園中を選択した。「高校生になるための土台を作っていくためには、投手のケアに優れていたり、生きていく上で大切なことを学ばせてもらえるのが駿台学園中だと思い、選ばせていただきました」と藤森は語る。

 1年春からレギュラーの座を獲得。6月に両翼97.6メートルある大田スタジアムの右翼芝生席へ叩き込むと、7月には投手でノーヒットノーランを達成した。カーブ、スライダーに「一番自信がある」というチェンジアップが冴え渡り、3年生の強打者たちをねじ伏せた。

「中学になって体も大きくなってきて、パワーもついてきたので、小学校の時よりもさらにレベルアップした自分が出せてきたのかなと思っています」

 現在ストレートの最速は130キロ超。通算本塁打も9本まで積み上げた。一冬を越え、さらにパワーアップした姿が楽しみだ。

「中学では投手として145キロを投げ、空振りの取れる変化球を磨いていきたいです。打者としては、1番打者としてチームに必要な存在になりたい。卒業までに人間性をしっかりと組み立てていき、将来はメジャーリーガーになりたいです」

 目指すは今永昇太投手(カブス)のような力感のない投球フォームと、糸井嘉男氏(元阪神)のような力強い打球。そして、大谷翔平投手(ドジャース)に憧れを抱く。投打で、そして守備でも、一流になれる素質は十分に秘めている。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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