面倒な“車出し”不要「来なくて大丈夫」 地域愛育み20年…親の負担減らす専用バス

全国出場の強豪・木屋瀬バンブーズ…学童チームでは珍しい送迎バスを保有
学童野球は試合や遠征で遠方まで移動することも多く、保護者がグラウンドまで送迎したり、駐車場のスペースが限られていれば、配車当番を決めて子どもたちを乗せ合うチームも多いだろう。そんな中、学童チームとしては珍しく、専用バスを保有しているチームがある。昨年12月、全国の約1500の学童野球チームが頂点を争う「くら寿司トーナメントポップアスリートカップ」に九州地区代表として出場した「木屋瀬(こやのせ)バンブーズ」(福岡県北九州市)だ。
その名も「バンブーバス」。竹の子をモチーフとしたマスコットキャラクターが側面にプリントされており、一目で分かるその姿は、地域の名物となっている。指導歴32年の中川芳生監督が20年前、会社にあった古いバスを譲り受け、15年ほど使用。現在のバンブーバスは5年前に部で購入した「2代目」になる。
「選手からは、部費とは別にバス代として月に500円もらい、車検代などの維持費に充てています。どこでも試合に行けるので、親は来なくても大丈夫です。運転は僕とコーチの2人がやっています」
保護者による車出しの負担がないチーム運営は評判も上々で、現在は12の小学校から44人の部員が集まる。地域からも愛され、昨年のくら寿司トーナメント出場の際も多額の援助が集まったという。1974年の創部から数多くのOBを輩出。地域住民にも支えられて半世紀の歴史を刻むことができた。
「大口の寄付をいただいたり、地域の方々の理解のお陰でここまでやってくることができました。周辺にはOBが大勢いるというのも、強みだと思っています」

目指すは“小学生の甲子園”初出場「今年のチームはエラーが少ない」
大会では、浜松ブラッツ少年野球団(静岡)との初戦で、特別延長戦の末に2-6で涙をのんだ。しかし、今年は全国を経験した5年生(新6年生)4人、4年生(新5年生)1人のレギュラーが残る。目標は“小学生の甲子園”と称される「全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」への初出場だ。昨年は県ベスト16で敗退しただけに、中川監督の意気込みも強い。
「今年のチームはエラーが少ないので、4人いる投手が四球を出さなければ、ある程度失点を抑えることができると思っています。今年こそはマクドナルド・トーナメントに行けるかなと。部ができて50年経ちましたが、地域の方々が応援してくれるので、今後も継続していけるように頑張っていきたいです」
地域とともに歩んだ50年、そして新たな50年へ。木屋瀬バンブーズはこれからも竹のようにしなやかな柔軟性で、時代に即したチーム作りを行っていく。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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