“3年後の復活”へ人生初営業 賛同続々…ソフト普及に挑む「最後の近鉄戦士」の今

プロ3球団で活躍した坂口智隆氏【写真:編集部】
プロ3球団で活躍した坂口智隆氏【写真:編集部】

元ヤクルトの坂口智隆氏がソフトボールの普及活動、3月23日には独自のイベントを開催

 近鉄、オリックス、ヤクルトで活躍した坂口智隆氏が、今月23日に大阪・泉南市で独自のソフトボールイベントを行う。現役時代は「最後の近鉄戦士」と呼ばれ、最多安打、ゴールデングラブ賞、通算1500安打を記録した男は、なぜソフトボールの普及活動を続けるのか。そこには3年後にある五輪の存在があるという。

 2022年に現役を引退した坂口氏は、翌2023年からソフトボールの魅力にどっぷりはまったという。野球よりグラウンドが小さくスピード感あふれるプレーと、何よりも選手たちのレベルの高さに衝撃を受けた。自身のYouTube企画でも自ら体験し、今では投手として「105キロの道」というチャレンジ企画も行うほどだ。

 野球とソフトボールは日本の“お家芸”とも知られるスポーツだが、ともに競技人口減少が問題となっている。特にソフトボールは2028年のロサンゼルス五輪で野球とともに追加競技となりながらも、世界的に見ればマイナースポーツの位置づけだ。日本でも五輪では盛り上がるも、その後はメディアで取り上げられることは少ない。

 そこで、昨年末に引退した実業団の元選手たちと交流を深めてチームを設立。全国各地でイベント開催やYouTubeでの動画配信を通じソフトボールの普及活動を行うことを決めた。「せっかく五輪の種目で復活したので、野球とソフトがもっと親密になれればいい。僕が先頭に立つことで、少しでも野球ファンも巻き込んでいきたい」と坂口氏。

ソフトボールの普及活動を続ける坂口氏【写真:編集部】
ソフトボールの普及活動を続ける坂口氏【写真:編集部】

クラウドファンディングにも挑戦「改めてファンのありがたさを感じた」

 イベントへ向けては人生初のクラウドファンディングを行い、全国から集まる選手の移動費や使用する球場代などの支援を募っている(20日締め切り)。さらに、自ら営業活動を行い、ハタケヤマ、ローリングス、コーベヤスポーツ、フィールドフォースが協賛企業となり用具提供を受けることになった。

「クラウドファンディングや、協賛していただいた企業の方々には、本当に感謝しかない。改めてファンの方々のありがたさや大切さを感じることができました。野球ファンにも是非、ソフトボールの魅力を感じてもらえれば」

 野球ファンからは選手とは違う形での「NPB復帰」を望む声も多いが、野球への恩返しも忘れてはいない。毎年のように春季キャンプに足を運び、シーズンに入ると解説者として声を届け、全国各地でアマチュアの指導にも力を入れている。

「野球とソフトボールは別競技かもしれない。ですが、バットとボールを扱うことに関しては同じ。ウインドミルで投げる投手は難しいですが、打撃や守備、走塁面は通じるものがある。ソフトボールの選手に指導することで新たな気づき、自分自身の引き出しも増えたと思う。今後も積極的に行っていければ」

 今回のイベントを成功させれば、年内にも「女子野球 vs 女子ソフトボール」の“異種格闘技戦”を構想しているという。「お互いリスペクトできる部分は必ずある。一緒になって野球とソフトボールを盛り上げていきたい」。元プロ野球選手が架け橋となる、異例の挑戦は始まったばかりだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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