公園遊び禁止、道具高騰…「肩身狭い」球児に手助けを 挑む“言い訳できない”商品作り

独創的な野球ギアを開発…「フィールドフォース」が全国から支持される理由
野球ができない“環境”でも「言い訳できない商品作り」をテーマに、球児を後押ししていく。野球用品メーカー「フィールドフォース」の吉村尚記社長は、これまで1000点を超える野球ギアを開発。失敗と成功を繰り返しながら商品開発を続ける理由を「環境の整備をしていかない限り、子どもたちから野球の選択肢がなくなっていく」と説明する。
2006年に東京・足立区でスタートした「フィールドフォース」は現在、全国5か所に室内練習場やアンテナショップを展開している。手ごろな価格、ありそうでなかった工夫を凝らした野球ギアは全国の野球チームから愛用されるようになった。同社が手がけるギアのコンセプトは、創業当初から変わらない「パートナー不要、省スペースで最大限の練習効果を!」だという。
昨今は公園や空き地での「ボール遊び禁止」は当たり前で、遊び感覚で野球ができる環境は激減している。未来の野球界を担う子どもたちを何とかしたい――。創業当時からその思いを持つ吉村社長は「野球だけでなく子どもたちは肩身の狭い思いをしている。場所がない、練習パートナーがいない。お金がかかる。昔に比べ野球を始めるハードルは高くなっている。我々が少しでもその手助けをしたい」と力を込める。
僅かなスペースで練習できるよう、工夫を凝らした商品が多いのも特徴の1つだ。ボール拾い、投げ手が不要でエンドレスにティー打撃が可能な「オートリターンネット」、危険性が少なく飛ばない穴あきボールを使用した「フロントトスマシン」など、アイデア満載の商品が並ぶ。

開発してきた野球ギアは1000点を超えるが「100%の商品は存在しない」
創業19年目を迎え、これまで開発した野球ギアは1000点を超えるが「持論として持っているのは100%の商品は存在しない」と吉村社長は口にする。直接現場に足を運び、選手や指導者の声を聞き実現した商品も、半年、1年後にはなくなっていることもあるという。
「19年前の商品は1つも残っていません。原型となっているものはありますが、改良を重ねて常にアップデートしていきます。アイデアは勝手に降ってくることはありません。現場で抱えている悩み、問題点を見に行く。子どもたちと話している時に気づきもあります。ありそうでなかったニッチな商品も、コンセプトにあっていれば商品化します。失敗から生まれる商品も沢山あります」
道具の高価格化、練習場所不足、競技人口の減少……。野球が抱える問題点は山ほどあるが、野球用品メーカーだからこそ還元できる部分もあると考えている。「社名のフィールドはグラウンドの意味もありますが、職場、家庭もフィールド。そしてフォースはパワーです。グラウンドで頑張っている全ての人の力になること。野球界を支える子どもたちが幸せにならないといけない」と吉村社長。
昨年末には初心者用グラブを1000人にプレゼントするなど、より多くの子どもたちに野球を楽しむきっかけを提供するフィールドフォース。野球界の未来を明るくするため、これからも死力を尽くしていく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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