大谷翔平の投手復活は「どれぐらい選手を知ってるか」 元ヤ軍の名将が占う“キーマン”

大谷が641日ぶりの実戦登板、最速156キロにツーシームで打者5人1安打2奪三振
とても641日ぶりの実戦投球には思えなかった。ドジャース・大谷翔平投手は25日(日本時間26日)の敵地・メッツ戦前に2023年9月の右肘手術後初めての実戦登板。ノーワインドアップから最速97マイル(約156.1キロ)のフォーシーム、そしてツーシームとスプリットの変化量は半端なかった。
「ステップを踏めたっていう点ではすごく良かったですし、内容も納得できる内容だったのかなと思う」
キム・ヘソン、ラッシング、そしてゲームプランニング&コミュニケーションコーチのJT・ワトキンス氏の延べ5人に対して1安打投球。右肘への負担が大きいとされるスイーパーも2球を投げ、2奪三振1四球と上々の試運転となった。右肘靱帯を負傷した2023年8月23日のレッズ戦以来の実戦登板。三振を奪えばド派手にガッツポーズを見せるなど、笑顔が絶えなかった。
「ちょっと最近あんまり投げていなかったので。また自分がピッチャーをやっているというのを若干思い出した感じはあるので良かったんじゃないかなと思います」
以前のセットポジションからノーワインドアップに変更。この日は、よりダイナミックさが増したように映る新投法で全22球を投じた。手応えも十分だ。
「そこまで大きく変わりはしないのかなとは思う。あんまり大きく区分けするのではなくて、やれることだけやれば、セットもワインドアップも基本的には一緒かなと思っています」
名将も惚れ込んだ偉才ぶり「彼ほど何かを成し遂げたり、才能のある選手は他にいない」
8分間の実戦登板。ロバーツ監督が「球界で最も重要なライブBPだったかもしれない」と笑ったように、球団首脳陣だけでなく、山本由伸やベッツ、マンシーにエンリケ・ヘルナンデス。メッツのメンドーサ監督、ウインカーら敵軍の首脳陣や選手も見守った。ドジャースベンチには往年の名監督の姿もあった。ヤンキース、ドジャースなどで監督通算2326勝を挙げたジョー・トーリ氏だ。
「軽やかに、そして楽しそうに投げていたね。私がいう必要はないけど、特別な選手だ。間違いない。1度に複数のことができる選手はいるけど、彼ほど何かを成し遂げたり、才能のある選手は他にいない」
改めて二刀流の偉才に惚れ惚れした様子。復活に太鼓判を押すが、同時に二刀流・大谷へのキーマンも挙げた。
「デーブ・ロバーツはオオタニを一番に考え、慎重に起用するだろうね。価値は計り知れないから。ロバーツはかなりいい仕事をしている。選手のことをどれぐらい知っているかによって、(大谷の起用法の)監督の決断は変わっている。ロバーツほどの人物はいない。大丈夫だ」
ライブBPから約4時間30分後の試合では初回に千賀滉大から両リーグトップに並ぶ18号先頭打者弾を放った。やはりリーグ屈指のスラッガーを日々の打線から外せない。マイナーでのリハビリ登板は予定はなく、今後もライブBPで球数を増やしていくなど強度を上げていく。異例のリハビリで、ロバーツ監督にとっても今後難しい決断に迫られるだろう。
投手復帰は7月のオールスター戦後。まだ2か月ほど準備期間となり、球団としては勝負の10月に先発投手として躍動することを期待している。
「まだポストシーズン出られるって確定はしていないので。もちろんそこの位置にしっかりと行く過程の中で、スケジュール通りに復帰して、チームの戦力になれれば、その先が見えてくるのかなと思っています」
周囲の大きな期待を背負い、二刀流フル回転へ静かに準備を進めていく。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)