二刀流復活の裏で大谷翔平に“生みの苦しみ” 今季最長更新も…125年間で唯一無二の偉業達成

投手復帰が電撃決定…アラエスには最速100.2マイル
ドジャース・大谷翔平投手は、13日(日本時間14日)から始まった本拠地10連戦に臨んだ。同地区ライバルのジャイアンツ、パドレスとの首位攻防カード、さらに電撃的な投手復帰と“リアル二刀流弾”まで――この10日間は話題に事欠かなかった。その怒涛の10連戦を改めて振り返る。
初戦はジャイアンツとの首位攻防。大谷は4打数無安打で、10試合46打席ノーアーチと今季ワーストを更新した。チームも敗れ、首位タイに並ばれた。しかし嫌なムードを一掃したのも大谷だった。翌日の同カードで初回に24号を放つと、第4打席でも一発を放ち、メジャー通算250号に到達した。
試合後、大谷は「だいぶ長いこと打ってないなとは思ってたので。2本とも比較的いいホームランでしたし、1本目は先制という意味で大きかったかなと」とコメント。また米データ会社「オプタ・スタッツ」によれば、7月前に25本塁打、10盗塁、5三塁打以上を記録したのは、2023年と今季の大谷の“2度目”だけ。再び歴史に名を刻んだ。
ジャイアンツとの3戦目は試合前から驚きの連続だった。ロバーツ監督が突然、6月下旬の投手復帰を示唆し、日米メディアが騒然となった。試合後にはパドレス4連戦(16~19日)での復帰を明言。そしてその数時間後、球団公式SNSが、初戦での先発を発表した。二刀流完全復活のニュースは瞬く間に世界を駆け巡った。
663日ぶりの投手復帰を控えた16日(同17日)、オールスターのファン投票中間結果が発表され、大谷はナ・リーグ最多となる139万8771票を獲得。選出されれば5年連続5度目となる。その数時間後、「1番・投手兼DH」でのスタメンが発表され、ドジャースタジアムは異様な熱気に包まれた。
注目の初回、大谷はタティスJr.に対し98マイル(約157キロ)を計測し、さらにアラエスには最速100.2マイル(約161.2キロ)を記録。試合後には「95~96(マイル)を意識していたが、マウンドに立つと上がってしまった」と心境を明かした。緊張と高揚感が交錯していたことがうかがえる。ただし、不運な当たりで連打を浴び、マチャドにはハーフスイングの判定に泣いた。犠飛で1点を失ったものの、28球(ストライク16球)を投げて無四球2安打1失点。スタジアムは温かい拍手で“復帰戦”を称えた。

ナショナルズで復帰2登板目…8試合ぶり26号を放った
大谷の“仕事”は降板後も続いた。ベンチに戻る間もなく、すぐに打席の準備へ。第1打席は三振に終わったが、第2打席では外角スライダーを左中間へ弾き返し、同点の適時二塁打。第3打席では右前への適時打を放ち、自らの失点を打で取り返す活躍を見せた。試合後のインタビューでは「戻ってこられてうれしい。支えてくれた多くの方に感謝したい」と笑顔を見せた。
登板翌日も元気にスタメン出場を果たしたが、4連戦は一気に荒れ模様となる。大谷は3回に右太もも付近に93.8マイル(約151キロ)の直球がぶつかり、打席で苦悶の表情を見せた。この試合では2回にタティスJr.が背中に死球を受けており、“報復”行為とも指摘された。
第3戦は2打席連続で本塁打性の飛球を放つも、惜しくも柵越えとはならず。結果的に2試合連続ノーヒットに終わったが、同点に追い付かれた9回にウィル・スミス捕手がサヨナラ本塁打。大谷はなぜか山本由伸投手を“襲撃”する場面があった。そして劇的勝利から36分後、ドジャースは20日(同21日)からのナショナルズ3連戦の最終日、22日(同23日)に大谷が先発登板することを発表した。
パドレス4連戦の最終日は異様な空気に包まれた。9回、パドレスの攻撃でタティスJr.が死球を受けると、マイク・シルト監督が激昂。デーブ・ロバーツ監督も応戦し、両軍ベンチが飛び出す一触即発の事態となった。その後、両軍指揮官は退場処分に。警告試合が発せられた。その裏に大谷に打席が回ると、カウント3-0からの4球目、ロベルト・スアレス投手の160キロが右肩甲骨付近に直撃。さすがの大谷も悶絶した。
ドジャースベンチも殺気立つ中、大谷はドジャースベンチに左手を振ってジェスチャーを送ると、笑顔を見せながら一塁へ向かった。さらに、に自らパドレスベンチに歩み寄って言葉を交わす場面もあった。あまりに異例の振る舞いにはMLB公式からも「一流の品格」と評されるなど、結果的に大谷の人間性を証明した格好となった。
ロッカーでは湿布を貼り「痛ってーー」と話していた大谷だが、ナショナルズ3連戦も欠場せず。20日(同21日)は2打席連続で四球で出塁すると、第3打席に適時打を放つなど、さすがの活躍を見せた。翌日は無安打に終わり、第3戦で2度目の投手復帰を迎えた。
中5日で先発マウンドに上がり、初回先頭のエイブラムズを初球で一ゴロに。ウッドは遊飛に打ち取ったかに見えたが、ベッツの落球で出塁を許した。しかし、ガルシアJr.をスイーパーで復帰後初の空振り三振に仕留めると、4番のロウもカットボールで空振り三振を奪った。18球で無安打無失点、2奪三振に抑える好投だった。
そして7回には満塁から走者一掃の三塁打を放つと、8回には左中間へ8試合ぶりとなる26号2ランを叩き込んだ。669日ぶりとなる“リアル二刀流弾”に本拠地は大興奮。自身の登板を、自身のバットで飾って見せた。本拠地10連戦は46打席に立ち、打率.297、3本塁打、10打点、OPS1.056。大爆発とまではいかなくても、二刀流復活ウィークで千両役者の活躍だった。
(Full-Count編集部)