キャッチボールは1球目から「目線より低く」 スカウトも高評価…GG賞捕手が徹底する“行動”

オリックス・若月健矢が野球を続ける子どもたちにアドバイス
一流プレーヤーほど準備や基本を怠らない。「打つ、投げる、守る」だけでなく、当たり前のプレーを淡々とこなせる選手を目指してほしい――。野球がうまくなるために必要なことは何か? オリックスの若月健矢捕手は「プレーと関係ないところも大切にしてほしい」と、少年少女たちにアドバイスを送る。
指導者やスカウトが選手を評価するポイントは数字や数値だけではない。全力疾走やカバーリングなど、プレーのなかで“抜かない”ことも条件の1つだという。2013年ドラフト3位でオリックスに入団した若月も、その1人だった。
「もちろん、ある程度の能力は必要で練習や努力もそうです。多分それがないと野球もうまくならないと思うんですけど。僕がドラフト指名された時、『ベースカバーとかも怠らなかった。そういう姿勢を見ていた』と、スカウトの方がコメントされていた。自分自身でも子どもの時から抜かずにやっていた自負はあったので、大事だなと思います」
花咲徳栄高(埼玉)を含め、アマチュア時代に最も心掛けていたのは相手に隙をみせないこと。野球はワンプレーで流れが変わるだけに、次に起きることを想定しながらプレーすることが重要になる。簡単な内野ゴロでも「アウトになるだろう」と一塁へのカバーを怠ると、暴投などで一気に得点圏のピンチを迎えることもある。
150キロを投げたり、ホームランを打ったりすることは難しいが、カバーリングは誰もができること。地道な努力の積み重ねもあり「そういったところがプロに行けた理由の1つかもしれない」と若月は振り返る。キャッチングやスローイングなど技術的な部分も必要だが「受ける、投げる以外の部分も全力で取り組んでほしい」と力を込める。
技術的なアドバイスとして挙げたのは「キャッチボールで相手の目より上には投げないこと」だ。「上の世界に行くと目線より高くは投げない。最初はワンバウンドでもいいから目線より低く投げて、1球目から全力でいってほしい」。キャッチボールは肩慣らしではなく、技術を上げる練習だと意識することが大事になる。
プロ12年目の若月は今年のオールスターゲームにファン投票で選出され、2023年にはゴールデン・グラブ賞に輝くなど、球界を代表する捕手として活躍する。献身的な守備と勝負強い打撃で、これからもチームを牽引していく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)