大谷翔平が見せた「今年初めての表情」 専門家が解説…リアル二刀流の適正打順

5試合連続本塁打を放ったドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】
5試合連続本塁打を放ったドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】

新井宏昌氏、投手・大谷の調整は「リハビリとしては順調

【MLB】ドジャース 4ー3 ツインズ(日本時間24日・ロサンゼルス)

 1番じゃなくていい――。ドジャース・大谷翔平投手は23日(日本時間24日)、本拠地で行われたツインズ戦に「2番・指名打者」で先発出場。5戦連発となる37号ソロを放った。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏は、投手・大谷の調整は順調であると評価。好調な打撃については「2番」の継続を支持した。

 二刀流の完全復活に向け、「2番・投手兼指名打者」で今季6試合目の登板となった21日(同22日)の同カードは3回1失点。初回に甘く入ったスイーパーを先頭打者本塁打されるなど、制球面に課題を残したが「オールスターブレークもあって中8日でしたからね。間が空きすぎて、普段と違う調整となって、うまくいかなかった面があると思います」と分析する。

「コントロールが甘かったり、引っかけてしまった球もありました。結構いい当たりを何本も打たれていて、うまくいってないという表情を見せていました。不満を感じている表情をあれだけ多くマウンド上で見せたのは、今まで見たことがありません。ただ、球自体は悪くない。球数(46球)も投げたし、リハビリとしては順調で、次のステップに問題なく進んでいける状態でしょう」

 マウンド以上に気になったのが第1打席に向かう表情だという。「これまでの二刀流の時は、第1打席で疲れた表情に見えていました。自分の投球もあって、相手投手に向かっていく雰囲気がなかったんです。でも(21日は)二刀流では今年初めて、“ス~ッ”と普段の彼の表情で打席に立っていると感じました。2番になって、打席に向かう時間が取れたのもあるのではないでしょうか」。結果は逆転2ラン。まさに二刀流の面目躍如だった。

走者一塁で広がる安打ゾーン…打点の量産にも期待

 今季、リアル二刀流の試合は前回まで「1番・投手兼指名打者」で起用され、第1打席はすべて凡退。空振り三振が2度、見逃し三振が1度、一ゴロが2度と結果が出ていなかった。20日(同21日)のブルワーズ戦から「2番」に入ったことで、初回の打席に入るまで時間的な余裕が出たのは事実である。「今までは二刀流の日は第1打席の内容も良くなかった。二刀流をやっていくのであれば、今後も2番の方がいいでしょう」と強調した。

「これまでロバーツ監督は『1番・大谷』で、いきなりホームランだったり、長打で相手にプレッシャーをかけたい狙いがあったのかもしれません。でも、ベッツが1番でいいでしょう。大谷ならバントの必要がない2番です。いろんな攻撃ができます」

 2番に入ることは二刀流への好影響だけにとどまらない。走者が一塁にいる場面では、序盤は必ず相手の一塁手はベースにつく。「大谷のヒットゾーンが広がります。今年もよく一、二塁間を破るヒットを打っていますからね。1番のベッツが出塁すれば、打点も増えると思います」。安打の確率が上がり、打点も増えるという効果も期待できるのである。

「今後はずっと2番でいっていいと思います。2番を推薦したいですね」。MLBでは日本人初、ドジャースの球団タイ記録となる5試合連続本塁打と快音が止まらない中、二刀流で大暴れしていく鍵は打順となるのかもしれない。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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