元プロ監督が唸る素質も「思うほど騒がれていない」 東海大菅生の主将…中日スカウトも絶賛

チームは西東京大会準々決勝に勝ち、4年ぶりの夏甲子園まであと2
第107回全国高校野球選手権西東京大会は24日に準々決勝戦が行われ、4年ぶりの夏の甲子園出場を目指す東海大菅生高が4-0で佼成学園高を破り、ベスト4入りを決めた。プロ注目の主将・前田蓮内野手(3年)は「3番・遊撃」で出場し、3打数2安打1四球で勝利に貢献。スカウトが見守る前で攻守に存在感を示した。
東海大菅生打線は初回、四死球で作った2死一、二塁のチャンスに5番・藤平寛己外野手(3年)が左中間を破る2点三塁打を放ち、幸先よく先制。3回にも前田の左前打などで無死満塁とし、二ゴロ併殺の間などに2点を追加した。守っては先発した左腕・上原慎之輔投手(3年)が緩急を駆使し、打たせて取る投球で7回1安打無失点に封じた。
「現在ウチで活躍している田中幹也(内野手)もそうですが、東海大菅生のショートはいつも非常にいいという印象があります。前田くんも身体能力が高く、守備では打球に対して1歩目のスタートが早いです」。こう前田を称賛したのは、中日の八木智哉アマチュアスカウトだ。さらに「状況を判断する力も優れています。試合の流れが常に頭に入っていて、結果が出なかった打席でも、何をしたかったのかが伝わってくる選手です。これは教えてできることではないです」と付け加えた。
一方、東海大菅生高を率いる若林弘泰監督も、かつて中継ぎ右腕投手として中日に6年間在籍した“元プロ”。前田を教え子の1人である中日・田中と比較し「場面に応じた打撃ができる“野球脳”の高さ、身体能力は(田中)幹也と共通していますが、前田は主将としてチームを引っ張っていますし、打撃の力強さなどを含め、高校時代の幹也よりずっといいと思います。僕が思うほど騒がれていませんが、これからが本当に楽しみな選手です」と評した。
中日ドラゴンズジュニアに選出された愛知の逸材が東京の高校を選んだワケ
前田の状況判断能力の高さは、試合後の発言からも伺えた。「神宮球場(での試合)だったので、低い打球が有効かなと思い、打ち上げないようにゴロを打つ意識で臨みました」。球足の速い人工芝の特性を頭に入れてプレーしていたというわけだ。
愛知県出身で、小6の時には中日ドラゴンズジュニアに選出された。東京の東海大菅生を進学先に選んだ理由は何だったのか。「中1の冬に若林監督から誘いを受けました。寮での私生活面を含め、“当たり前のこと”を徹底する姿勢に惹かれ、菅生のユニホームを着たいと思うようになりました」と説明。チームが掲げる「凡事徹底」に魅力を感じたという。愛知の逸材をスカウトした若林監督は「前田が中学時代、愛知名港ボーイズにいた頃から“ロックオン”していましたよ」と笑う。
憧れのプロ野球選手には「打撃も守備も完璧なので」と巨人・坂本勇人内野手を挙げる。父・健治さんから坂本のプレー動画を参考にすることを勧められ、左足を高く上げる前田の打撃フォームにも坂本の影響があるという。
春の選抜大会には一昨年出場し、ベスト8入りを果たした東海大菅生高だが、夏は一昨年、昨年といずれも西東京大会5回戦で敗退していた。「敗戦を通じて夏の厳しさを全員が経験しているので、引き続き一戦一勝の精神で臨んでいきたいです」。前田は甲子園を見据え、主将として気を引き締めた。
(井上怜音/ Reo Inoue)