大谷翔平を苦しめた“ベルド級”の酷暑 レッズ剛腕は3度の嘔吐…休養日問題も再燃か

予定の4回を消化できず「昨日、今日と体調が良くない」
【MLB】レッズ 5ー2 ドジャース(日本時間31日・シンシナティ)
めちゃくちゃ暑いわけではない。低温のサウナ室、日本の球場で言えば、西武のベルーナドームだろうか。試合開始時は気温32度、湿度61%。ドジャース・大谷翔平投手の今季7試合目の登板は、そんな高温多湿のシンシナティで行われた。
初回からおかしかった。最速101.0マイル(約162.5キロ)とフォーシームは走ったが、変化球はスイーパーばかり。エンゼルス時代の2023年に似たような投球で、右肘の負担を減らそうと取り組んできた縦スライダーやシンカー、前回登板で手応えを得たスプリットは“消えた”。4回に6球連続ボールとなり、ロバーツ監督とヘッドトレーナーのトーマス・アルバート氏がマウンドへ。「右臀部の痙攣(けいれん)」。ここでタオルが投げられた。
「初回から(異変を)感じてはいましたけど、なんとか騙し騙しで。3回ぐらいまでいけてたんだけど、最後はちょっと難しかったなと思います。球種というよりは、あまり沈み込まないように。本格的に釣らないように、悪く言えば、手で投げるような感じだったかなと思います」
4回途中5安打2失点。復帰後初めて予定のイニング(4回)を消化できなかった。
本当に右のケツを攣っただけか。試合中から、それだけではないような気がした。シンシナティの酷暑は、ひどかったからだ。レッズの剛腕ハンター・グリーンは、昨季、少なくとも3度マウンド上で嘔吐。正直、記者もグラウンドに立っているだけでしんどい環境(オアシスになるはずの記者室は“弱冷房”の悲劇)だった。
案の定、大谷は試合後に「昨日、今日と体調が良くない」「昨日今日と脱水気味ではある」と打ち明けた。後半戦の打撃について問うと、衝撃的な答えが返って来た。
「昨日今日は正直あまり覚えていないというか。打席に行って帰ってケアして、みたいな感じだったので。どういう打席を送れていたかというのは、あんまり記憶にないという感じ」
この日が7月最終戦。レギュラーシーズンはいよいよ勝負の夏に入る。ここまで今季107試合出場した大谷が、欠場したのは父親リスト入りした4月の2試合だけだ。「後半戦の休養日は?」。この問いかけに、大谷は首を横に振った。
「シーズン後半は休みが多いと思うので。ホームでの休みもありますし、あまり日程的には、そこまでタイトなスケジュールではないのかなと思います」
次回登板予定は8月6日(同7日)の本拠地・カージナルス戦。しばらくは登板翌日が試合なしの休養日となるが、他の選手以上に体力の消耗の激しい二刀流だ。世界一連覇へは、思い切って休ませることもポイントになる気がするが……。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)