安打の確率が上がる“打球の質”は? 130キロ投手を攻略…中学王者が徹底する打撃スタイル

“アベック優勝”を成し遂げた高崎中央ポニーナイン【写真:片倉尚文】
“アベック優勝”を成し遂げた高崎中央ポニーナイン【写真:片倉尚文】

昨年夏にボーイズから移籍…ポニー全日本選手権&1年生大会を制した高崎中央

 中学硬式野球ポニーリーグの頂点を決める「マルハングループインビテーション 大倉カップ 第51回全日本選手権大会」が7月18日から23日まで行われ、群馬・高崎中央ポニーが初優勝を飾った。ボーイズリーグから昨年8月にポニーへ移籍し、初出場での快挙。しかも、中学1年世代のブロンコ大会も制し、“アベック優勝”を成し遂げた。

 高崎中央ポニーのAチームに当たる「ジャイアンツ」は23日、愛知木曽川ポニーに1-0で勝ち、優勝を飾った。進撃はこれだけに留まらなかった。1年生による「第49回全日本選手権ポニーブロンコ大会」では「ジャイアンツJr.」が江東ポニーJr.に10-4で快勝し、ダブル優勝を成し遂げた。

 決勝戦が行われた東京・江戸川区球場には、大会に出場したチームの選手たちが一堂に集結。約2500人がスタンドから声援を送った。「ジャイアンツ」を率いる倉俣徹監督は「すごい雰囲気の中で、選手たちはみんな緊張していました。15歳でこういう経験をできたのは本当に大きなことです」と感慨深げに振り返った。

 高崎中央は昨年までボーイズリーグに所属。2021年春の全国大会で準優勝、2023年の全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップで準決勝に進出するなど実績を残してきたが、昨年8月にポニーリーグへ電撃移籍した。1つの大会に複数チームが参加できることや、1度交代しても再度出場できるリエントリー制度、リーグ戦を多く取り入れていることなど、多くの選手が試合出場機会を得られる取り組みに賛同しての移籍だった。

 初出場の全国舞台で早速、大きな収穫を得た。全日本選手権には「ジャイアンツ」の他にBチームの「ネクスト」、Cチームの「フューチャーズ」の3チームが出場。「ネクスト」が16強入りした。ブロンコ大会には「ジャイアンツJr.」と「ネクストJr.」の2チームが出場し、「ネクストJr.」が8強入りした。高崎中央の総監督でもある倉俣氏は「結果は偶然ですが、多くの選手が貴重な経験を積めたのが何よりです」と強調した。

1年生チーム・南場朝日【写真:片倉尚文】
1年生チーム・南場朝日【写真:片倉尚文】

ライナー&ゴロで上がる安打の確率…低く強い打球で好投手を攻略

 戦術面でも強い印象を残した。昨年大会を制した福岡・ポニー筑後リバーズとの準決勝。130キロ超の速球を投げる右腕・秋山颯星投手を攻略し、8-5で勝利を手にした。3回に6安打を集中して一挙5得点を挙げたが、6本のうち5安打は強く低い打球。剛腕攻略のお手本のような攻撃で難敵を破った。

 倉俣監督によると、打球による安打の確率はライナーが7割、ゴロが4割、飛球が2割。「フライボール革命といっても、パワーのない年代では難しいと思います。やはり、低く強い打球を打つことでヒットの確率は上がっていくと思います」と説明する。

 移籍1年目で大きな足跡を残した高崎中央ポニー。中学硬式5団体の覇者によるトーナメント「3rdエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」は8月28、29両日に行われる。ポニー王者はどんな戦いを見せるだろうか。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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