ポスティングで米挑戦→半年で帰国も「全く後悔ない」 青柳晃洋が苦しんだ“日米の違い”

入団会見で思い「マイナーでも行かせてくれたタイガースには感謝しかない」
ヤクルトに加入した青柳晃洋投手が31日、都内の球団事務所で入団会見を行った。阪神から昨オフ、ポスティングシステムを利用して米球界に挑戦したが、メジャー登板は叶わず。わずか半年でのNPB復帰にも「全く後悔はないです」と言い切った。苦悩や困難を味わいながらも「素晴らしい経験をさせてもらった」という半年となった。
会見の冒頭、「まずは自分がメジャーに挑戦してダメになってしまいましたけど、また野球をできる環境を与えていただいたことに感謝が一番です」と述べた。夢を追いかけ、9年間を過ごした阪神からフィリーズへマイナー契約で移籍。招待選手としてスプリングトレーニングに参加したが昇格は果たせず、傘下2Aを退団して日本に帰ってきた。
厳しい世界だった。マイナーで23試合に登板し、1勝3敗、防御率7.22。「野球の考え方が違ったり、文化が違えば考え方も違う」と戸惑いはあった。「それを言うと言い訳になるので何とも言えないですけど」と首を振ったが、滑るとされるボールへの適応も決して簡単ではない。試合の中での考え方の違いも目の当たりにした。
「配球が違ったり、投手が投げることに対しての価値観が全然違う。向こう(米国)ならその投手の1番いい球を1番多く投げるみたいな感覚が多かったです。とりあえず真ん中に投げなさい、というのもそう。見せ球もあまりなかった。相手が打てないところを投げ続けなさいという考え方でしたね」
マイナー契約とあって環境面も過酷だった。「(日本は)恵まれていたんだなと。同じ競技ですが環境と文化が違いました」としみじみ振り返った。
とはいえそれらを全て「いい経験ができた」と成長の糧とした。そして、何度も口にしたのは古巣・阪神への思い。「マイナーでも行かせてくれたタイガースには感謝しかないです」「結果を出すことはできませんでしたが、経験させてもらったタイガースに感謝もあります」と繰り返した。2022年には“投手3冠”に輝いた男の「NPB第2章」。強くなった姿を見せる。
(町田利衣 / Rie Machida)