大阪桐蔭撃破で訪れた“試練” 東奔西走、怒涛の日々「喜ぶ間もなく」…集結した友情応援団

東大阪大柏原の応援に姉妹校など計4校が駆けつけた
ドタバタの2週間だった。第107回全国高校野球選手権は12日、大会第7日目が行われ、第3試合で東大阪大柏原が尽誠学園(香川)と対戦し0-3で敗れた。初戦突破とはならなかったが、東大阪大柏原のアルプススタンドには、他校からの心強い味方が駆けつけていた。
激戦の大阪府大会を勝ち抜いた強豪校に応援団はない。14年ぶり2回目の出場を決めた東大阪大柏原だったが、この日球児たちを応援しようと駆け付けたのは、東大阪大学系列の姉妹校・東大阪大敬愛高校のダンス部員と、同校の他3校の吹奏楽部員たちだった。
府大会決勝戦では春夏9度の全国制覇を誇る大阪桐蔭に延長タイブレークの末に勝利。「あの桐蔭さんでしたからね。野球部を信じていましたが、まさかという気持ちもありました。14年ぶりですから、嬉しいです」。そう振り返るのは責任教師を務める松浦先生。ただ、“本番”はここからだった。
7月27日に優勝を果たし、そこから約1週間後には開会式。喜びも束の間、松浦先生は姉妹校を中心に応援団集めの声かけに動いた。「喜んでいられる暇もなかったですね。すぐ人を集めないとといけなかったので。でもすぐにはなかなか決まらなくて……。複雑なプレッシャーがありましたね(笑)」。突然訪れた怒涛の日々を振り返った。
友情応援を決めた敬愛の吹奏楽部のもとに連絡が来たのは7月29日。そこから曲を準備して練習を本格的に始めたのは8月に入ってから。応援曲は野球部からのリクエストを聞き13曲をゼロから準備した。
吹奏楽部顧問の酒井先生は「大変でしたが、喜ばしいことだと思ったので『(吹奏楽部の)みんなで頑張ろう!』と声をかけて」と、一度にやって来た驚きと嬉しさを笑顔で語ってくれた。
野球部ら生徒たちと吹奏楽部が合同で練習したのはわずか2回のみ。それでも息の合った演奏と全力の声援は、他校に負けないほど大きく、甲子園でプレーする選手たちの背中を強く押していた。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)