ポップな校歌が大反響「CDを売って」 誕生の舞台裏…急死した部員に捧げるもう1つの名曲も

試合後、校歌を披露する明豊ナイン【写真:加治屋友輝】
試合後、校歌を披露する明豊ナイン【写真:加治屋友輝】

チームメートの依頼を受けて「ベリーグッドマン」が制作

 第107回全国高校野球選手権大会は17日、5年連続11回目の出場の明豊(大分)が県岐阜商との3回戦に1-3で惜敗。「神田川」や「妹」など昭和の名曲を生み出したことで知られるフォークシンガー・南こうせつさんが作曲した“ポップ調”な校歌が、試合後に流れることはなかった。

「甲子園に出場する度に、学校に『校歌のCDを売ってください』と問い合わせをいただきます。非売品で販売はしていませんが、毎年新入生にはCDを配布しています」。こう明かすのは、系列の明豊中学の小林秀雄副校長だ。ソフトバンク・今宮健太内野手らの母校として知られ、今大会も1回戦で市船橋(千葉)、2回戦で佐賀北を撃破して校歌が流れたことから“宣伝効果”はあっただろう。

 1999年の学校創立当初、当時理事長だった故・西村駿一氏と南さんに親交があったことから作詞が実現。南さんの妻でエッセイストの南育代さんも、系列の別府大学で講師を務め、校歌の作詞を担当した。「南さんはコンサートでこの校歌を歌われることもあるそうで、『徹子の部屋』で2回も演奏されたのですよ」と小林副校長は笑う。

 実は、明豊には他にも“名曲”がある。2022年8月、当時2年生捕手だった吉川孝成(こうせい)さんが練習試合中、ファウルボールを鎖骨付近に受け倒れた。病院に搬送されたが、意識が戻らないまま11月にこの世を去った。

 吉川さんが愛聴していたのが、3人組ボーカルグループ「ベリーグッドマン」の楽曲だった。チームメートの依頼を受けて、ベリーグッドマンが亡き吉川さんに捧げる楽曲「KOSEI」を制作。この曲は今大会のアルプス席でも、チャンステーマ「個性~明豊 is No.1」として演奏されていた。

 ポップ調の校歌も編曲され、「個性~明豊 is No.1」やラテンの名曲「サンバ・デ・ジャネイロ」とともに、チャンステーマとして使用されている。すっかり甲子園常連となった明豊だが、ファンにとってはチャンステーマ込みで、ますます出場が楽しみになる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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