“2億円球場”に一流アスリートが集結 筒香兄がイベント開催も…野球だけじゃないワケ

イベントに参加したアスリートと子どもたち【写真:編集部】
イベントに参加したアスリートと子どもたち【写真:編集部】

8人のトップアスリートがスポーツイベントを行った

 DeNAの筒香嘉智外野手が設立した「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」で21日、子どもたちが参加するスポーツイベントが開催された。ヤクルトで活躍した館山昌平氏ら8人のトップアスリートが集まり、様々なスポーツを通じて小学生たちと触れあった。

 会場となった総合スポーツ施設「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」は、筒香が出身地の和歌山県橋本市に約2億円の私費を投じて設立し、天然芝の球場や室内練習場を備える。そこで活動する少年硬式野球チーム「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」で代表を務める兄の筒香裕史さんと、公益財団法人日本財団のアスリートによる社会貢献活動推進を目的とした「HEROs」と共同企画で開催された。

 DeNAの筒香が昨年、「HEROs AWARD」を受賞したことを機に話が進んだ。今回、野球以外の競技にも触れる機会を望んだ兄の裕史さんは「野球だけとかいってる場合じゃないなと。幼少期はもちろん、色んなスポーツに触れた方がいいし、もしかしたら他のスポーツに目覚めて始めることもいい。日本のスポーツ界を繋ぐハブ的な役割が出来るといいなと」と理由を語った。

「HEROs」からは、ジュニア世代の指導にあたっているアスリートを中心に、8人が集結。館山氏をはじめ、女子プロ野球で「二刀流」として活躍した小西美加氏、2008年北京五輪で金メダルを獲得した坂井寛子氏、シルク・ドゥ・ソレイユのメンバーも務めた元体操選手の藤巻立樹氏、アルティメット元日本代表の中野源一氏、元パラリンピック水泳日本代表の久保大樹氏、世界選手権にも出場した飛び込みの馬淵優佳氏らトップアスリートが子どもたちのために集まった。

イベントを見守るアラボーイズ代表の筒香裕史氏【写真:木村竜也】
イベントを見守るアラボーイズ代表の筒香裕史氏【写真:木村竜也】

館山氏「我々アスリートも学ぶところがあった」

 午前中に1、2年生13人、午後に3、4年生約30人の2部制で行われ、スポーツ未経験の子どもも参加した。最初は藤巻氏が四足歩行リレーなどでウオーミングアップを行い、藤巻氏はバク転などのアクロバティックな技も披露。怪我の注意点について、同伴した親に説明する一幕もあった。その後は中野氏がアルティメットで使うディスクを使った運動や、館山氏、小西氏、坂井氏らが投球を披露するなど、子どもたちを楽しませた。

 最後にはティーボールで試合を行った。1、2年生の部はベースを踏むたびに得点が加算されていく「ドカ点」方式。守備は打球をキャッチした場所に全員が集合し「アウト!」と叫ぶと成立するなど、オリジナルルールで行われ、得点の入る喜びや楽しさを体験した。

 閉会式ではアスリートたちのサイン入りグッズなどが手に入る抽選会が行われ、館山氏は「大きくなって欲しいので」と1キロの米を90袋用意し、参加者全員に配った。参加者全員でハイタッチをして終了し、最後まで笑顔の絶えないイベントとなった。

 日本財団の経営企画広報部部長を務め、アスリートと共に参加した長谷川隆治氏は「天然芝がいいなと思いました。安全だし子どもたちがついゴロゴロしたくなるような。ゴールを与えすぎないということを共通認識として、自分たちで行動してくれるようにとメニューを考えました」とイベントの成功を喜んだ。

 また、小西氏は「野球以外の方と一緒にやれたことの素晴らしさを感じました。何の競技でもいいのでスポーツの面白さを知ってほしいですね」と振り返り、坂井氏は「体を動かす場所も機会もなかなかないので、こういう時に楽しそうにやってくれて嬉しいですね」と笑顔で語った。

 現在は社会人野球チームのマルハン北日本カンパニーの監督を務め、社会貢献活動にも従事する館山氏は「やっぱりスポーツって楽しいなと。勝った負けたより、“出来た”という成功体験が今後の人生に絶対生きるんじゃないかなと思いました。子どもたち同士で教えあったりする姿を見て、我々アスリートも学ぶところがあったと思います」と充実の表情を見せた。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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